非上場株式の納税猶予

1、相続税・贈与税の納税猶予

現経営者の相続・遺贈により、親族である後継者が取得した自社株式の80%部分が相続税の納税猶予を受けたり、贈与により、自社株式に対応する贈与税を受けたりすることができます。これらの納税猶予手続きは、煩雑な割に経済的効果が少なかったり、利用条件が限定されすぎているという事で「経済産業大臣の確認・認定」件数は、約5年経過した時点でそれぞれ約3000件と約600件となっています。そこで、平成25年度税制改正大綱において、事業承継・継続・雇用維持という観点から後継者は親族でなくても良いと記述されています。相続評価上、高額となってします非上場会社の経営者は、納税猶予額を算定の上、条件確認と手続きを踏まれてはと思います。「経済産業大臣の確認」自体書類を提出することによる不利益は無いため、ご検討をされてはと思います。

①会社の要件

ⅰ中小企業者であること。

ⅱ上場会社、風俗営業会社でないこと。

ⅲ従業員が1人以上であること。

ⅳ資産管理会社に該当しないこと。

②現経営者の主な要件

ⅰ会社の代表者であったこと。

ⅱ相続開始直前において、現経営者とその親族で総議決権数の過半数を所有し、かつこれらの者の中で筆頭株主であ

ったこと。

ⅲ贈与税の納税猶予の場合、贈与時に役員を退任していること。

③後継者の主な要件

ⅰ現経営者の親族であること。

ⅱ相続開始の直前において役員であり、相続開始から5ヵ月後に代表者であること。

ⅲ相続開始時において、後継者とその親族で総議決権数の過半数を保有し、かつこれらの者の中で筆頭株主であるこ

と。

ⅳ贈与税の納税猶予の場合、贈与日に20歳以上で、贈与直前3年以上役員であったこと。

④納税猶予を受けるために満たすべき継続要件

ⅰ後継者が会社の代表者であること。(申告期限後5年間)

ⅱ雇用の8割以上を維持していること。(申告期限後5年間)

ⅲ後継者が筆頭株主であること。(申告期限後5年間)

ⅳ上場会社、風俗営業会社に該当しないこと(申告期限後5年間)

ⅴ猶予対象株式を継続保有していること(5年間経過後)

ⅵ資産管理会社に該当しないこと(5年間経過後)

※猶予されていた税額の納付が全額免除される場合

ⅰ現経営者が死亡した場合(贈与税)

ⅱ後継者が死亡した場合(相続税・贈与税)

ⅲ会社が破産・特別清算した場合(5年経過後の相続税・贈与税)

ⅳ次の後継者に猶予対象株式を生前贈与して贈与税の納税猶予を受ける場合(5年経過後の相続税)

⑤納税猶予を受けるための手続き

ⅰ経済産業局で確認

ⅱ経済産業局に相続開始後8カ月目までに、確認書を添付して申請

または、

経済産業局に贈与の翌年3月15日までに、確認書を添付して申請

ⅲ税務署に相続税の申告書を認定書と共に提出

または、

税務署に贈与税の申告書を認定書と共に提出

ⅳ経済産業局に「年次報告書」、税務署に「継続届出書」を毎年提出(5年間)

ⅴ税務署へ「継続届出書」を3年に1度提出(5年経過後免除されるまで)

⑥主な作成および添付書類

ⅰ確認(承継計画書・確認申請書・定款及び株主名簿写し・登記事項証明書・誓約書・現経営者及び親族の戸籍謄本ま

たは、抄本

ⅱ認定(認定申請書・経済産業大臣から交付された確認書・定款及び株主名簿の写し・登記事項証明書・従業員数証明

書・貸借対照表・損益計算書・誓約書・被相続人、相続人及び親族の戸籍謄本又は抄本・遺言書又は遺産分割協議書の

写し及び相続税の見込み額を記載した書類

ⅲ納税猶予(相続税等の期限内申告書・認定書の写し・認定申請書の写し・定款及び株主名簿の写し・登記事項証明書・従

業員数証明書・後継者の戸籍謄本又は抄本・貸借対照表・損益計算書・遺言書又は遺産分割協議書の写し及び相続人全

員の印鑑証明書

 

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会計プロフェッショナルの税務事案奮闘記
深井和巳 監修
日本公認会計士協会京滋会 編著

租税法判例について、日々生起する相談案件を、京都で開業する公認会計士事務所で働く会計士により、判例中心で読み解くストーリー仕立てで構成。