法人住民税

⚫ 地域経済がエネルギー価格や原材料費の高騰等の厳しい経済状況に直面する中、引き続き、高い付加価値を生み出す設備投資を促進する観点から、適用期限を2年間延長する。
⚫ 地域の「稼ぐ力」を強化すべく、特に高い付加価値(3億円以上)を創出し、地域内企業との取引や雇用を通じて、より一層地域経済に波及効果を及ぼす事業について上乗せ支援の対象とする。

1.制度の概要

地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額等の特別控除(地域未来投資促進税制)は、地域経済牽引事業計画の承認を受けた事業者が、承認された事業計画に基づいて設備投資を行う場合に減税措置を受けることができる制度です。
 具体的には、地域未来投資促進法に基づき、地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域の事業者の相当の経済的効果を及ぼすと認められるものとして、都道府県知事から地域経済牽引事業計画の承認を受けた上で、地域の成長発展の基盤強化に特に資するものとして、国(主務大臣)が定める基準に適合することの確認を受けることで課税の特例が適用できます。

参考:経済産業省資料よりzeiseikaisei.pdf (meti.go.jp)

2.改正の内容

 今回の改正では、適用期限の延長とともに、特に高い付加価値を創出し地域内企業との取引や雇用を通じて地域経済に波及効果をより一層及ぼす事業を、特別償却率及び税額控除率を引き上げる上乗せ支援の対象としています。
 この上乗せ支援について、
 ①対象事業において創出される付加価値額が3億円以上、かつ、
 ②事業を実施する企業の前年度と前々年度の平均付加価値額が50億円以上、
 の要件が新たに追加されました。
 従来の要件と合わせて全て満たすことで、特別償却は取得価額の50%、税額控除は取得価額の5%となる上乗せ措置が適用されます。
 主務大臣の確認要件についても見直しが行われており、要件の判定において売上高を計算する場合には需要の変動等による影響を勘案した計算方法を用いることなどの運用改善が図られています。

3.適用期限

令和7年3月31日まで2年間延長されました。

 

日本企業が、そのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進において課題となっているデジタル人材の育成・確保に取り組むとともに、成長性の高い海外市場の獲得を含めた売上上昇につながる「攻め」のデジタル投資に踏み切ることを後押しするため、要件を見直した上で、適用期限を2年間延長します

1.改正の内容

 制度適用に当たっては、産業競争力強化法における事業適応計画の認定要件を満たした上で、「デジタル(D)要件」と「企業変革要件(X)」について主務大臣から確認を受ける必要があります。
 今回の改正では、
 ▶デジタル要件のうち、情報処理推進機構から「DX認定」を受けるためデジタル人材の育成・確保に関する具体的な方策をしめさなければならないこととなりました。
 ▶企業変革要件では、従来の生産性向上または新需要開拓に関する要件が、売上高が10%以上増加することが見込まれることに、取組類型に関する要件が、対象事業の海外売上高比率が一定割合以上となることが見込まれることに、それぞれ見直されました。(下図参照)


 参考:経済産業省資料よりzeiseikaisei.pdf (meti.go.jp)

なお、令和5年4月1日前に認定の申請をした事業適応計画に従って同日以後に取得等をする資産については、同税制措置は適用されません。

2.適用期限

令和7年3月31日まで2年間延長されました。

1.制度の概要

中小企業

 中小企業投資促進税制は、青色申告書を提出する中小企業者等が機械装置等の対象設備を取得や製作等をした場合に、取得価額の30%の特別償却または7%の税制控除が選択適用できる制度です。
税額控除は、資本金3,000万円以下の中小企業者等に限ります。

対象となる業種及び設備は下表のとおりで、
 対象設備のうち、下の①~③は対象外となります。
 ①中古品
 ②貸し付けの用に供する設備
 ③匿名組合契約等の目的である事業の用に供する設備
  
そのため、令和3年度税制改正で対象業種に追加された不動産業や物品賃貸業が、貸付のために取得等した資産は適用できないこととなります。
 ・サーバー用オペレーティングシステム
 ・サーバー用仮想化ソフトウェア
 ・データベース管理ソフトウェア
 ・不正アクセス防御ソフトウェア等で、
  国際標準化機構の規格に基づく評価・認証がないソフトウェアも対象外です。

参考:経済産業省資料zeiseikaisei.pdf (meti.go.jp)


また、一定の電子計算機やデジタル複合機は平成29年度税制改正で対象外となりましたので、これらを取得する場合には「中小企業経営強化税制」を活用することが望まれます。

 特例適用にあたっての手続きは、法人税の確定申告書に、
 ・特別償却の場合は「特別償却の付表」と適用額明細書、
 ・税額控除の場合は「別表」と適用額明細書
  を添付して提出します。

なお、令和3年度では、
 ・特別償却は2万3,201件(適用総額1,934億円)
 ・税額控除は2万8,656件(適用総額186億円)
  が特例の適用を受けています。

2.改正の内容

 コロナ禍に加えて物価高や資源高騰により中小企業を取り巻く事業環境は厳しさを増している中、成長の底上げに向けて中小企業者等の設備投資を促進する観点から、適用期限が2年間延長されました。

 対象資産については、コインランドリー業(主要な事業であるものを除く)の用に供する機械装置でその管理のおおむね全部を他の者に委託するものが除外されました。
 投資額の大部分を初年度から即時償却できる節税方法としてコインランドリー投資を行う者が増えていましたが、中小企業経営強化税制とともに特例措置の適用対象外となっています。

 また、総トン数500トン以上の船舶にあっては、環境への負荷低減に資する設備の設置状況等を国土交通大臣に届け出た船舶に限定されました。

3.適用期限

 令和7年3月31日まで2年間延長されました。

1.制度の概要

  【中小企業経営強化税制】は、青色申告書を提出する中小企業者等が、中小企業等経営強化法の制定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の整備を新たに取得等して指定事業の用に供した場合に、
 ■ 即時償却  又は
 ■ 取得価額の10%の税額控除 (資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)
の税額控除を選択適用することができる制度です。
原則、設備の取得前に経営力向上計画の認定を受ける必要があります。

 対象となる設備は
  ・生産性向上設備(A類型)
  ・収益力強化設備(B類型)
  ・デジタル化設備(C類型)
  ・経営資源集約化設備(D類型)
 の4類型。それぞれ要件が定められています。
 例えばA類型では、機械装置等の一定の設備のうち、
  ①生産効率や制度等が旧モデルと比較して年平均1%以上向上する設備
  ②最新モデルである必要はありませんが一定期間内に販売されたモデルの2つの要件を満たす必要があり、適用に当たっては工業会等の確定を受けて証明書を取得しなければなりません。(下図参照)

 

参考:経済産業省資料より zeiseikaisei.pdf (meti.go.jp)

 なお、テレビ会議システム等に係るソフトウェアやテレワーク用電子計算機等の器具備品など、中小企業等経営強化法上の認定を受けた経営力向上計画に基づいて働き方改革の推進に資する減価償却資産を取得し、自社が営む指定事業(※)の用に供する場合にも、適用を受けることができます。

 ※指定事業とは「中小企業投資促進税制の対象業種」に該当するすべての事業が、「中小企業経営強化税制の指定事業」となります。(下表参照)

中小企業投資促進税制の対象業種
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、
港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業については生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、通信業、損害保険代理業及びサービス業(映画業以外の娯楽業を除く)、不動産業、物品賃貸業
   △性風俗関連特殊営業に該当するものは除く

 また、選択適用となる税額控除の控除額は、
 ・「中小企業経営強化税制」と「中小企業投資促進税制」の控除税額の合計
 ・その事業年度の法人税額の20%が上限
 ・税制控除の限度額を超える金額は、翌事業年度に繰り越すことが可能
特別償却についても、限度額まで償却費を計上しなかった場合には、その償却不足額を翌事業年度に繰り越すことができます。

2.改正の内容

 新型コロナウイルス感染症の影響により、中小企業による設備投資額がここ数年大きく減少しています。中小企業者等の成長及び発展が日本経済の活性化に果たす役割の重要性に鑑み、中小企業者等における生産性の高い設備やIT化等への設備投資を促進することで経営力の向上を図る観点から、適用期限が2年間延長されました。

 また適用対象のうち、管理の概ね全部を他社に委託する機械装置で、コインランドリー業又は暗号資産マイニング業(その中小企業者等の主要な事業であるものを除く)のように供するものは対象外とされました。

3.適用期限

令和7年3月31日まで2年間延長されました。

 

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