事業承継

事業承継者に自社株式を集中させるには、相続人に遺留分(最低相続できる権利)があるため全株式を集中させることが困難でした。そのために、従来は「遺留分の事前放棄」として相続人各人が家庭裁判所に申し立てをし許可を受けなければならず、家庭裁判所に行けないものや行かないものがいると目的が達成できませんでした。遺留分の民法特例は、相続人全員の合意のもと後継者が単独で経済産業大臣の確認及び家庭裁判所の許可を受けることにより、自社株式について遺留分の計算から除外する(除外合意)又は、遺留分の計算に算入すべき価額を固定する(固定合意)を受けることができるようになりました。

1、民法特例を利用できる要件

①会社:合意時点において3年以上継続して事業を行っている非上場会社

②現経営者:過去又は合意時点において会社の代表者である。

③後継者:合意時点において会社の代表者であり、贈与等により株式を取得する事により、議決権の過半数を保有す

る。

2、経済産業大臣(経済産業省中小企業庁財務課)の確認(相続人の合意から1カ月以内)

①作成書類:確認申請書、確認証明申請書、合意書

②添付書類:定款及び株主名簿の写し、登記事項証明書、従業員数証明書、貸借対照表・損益計算書、上場会社でな

い旨の誓約書、印鑑証明書、現経営者及び推定相続人全員の戸籍謄本又は抄本、固定合意をした場合、

税理士等の証明書

3、家庭裁判所の許可(経済産業大臣の確認から1カ月以内)

経済産業大臣の確認書

1、相続税・贈与税の納税猶予

現経営者の相続・遺贈により、親族である後継者が取得した自社株式の80%部分が相続税の納税猶予を受けたり、贈与により、自社株式に対応する贈与税を受けたりすることができます。これらの納税猶予手続きは、煩雑な割に経済的効果が少なかったり、利用条件が限定されすぎているという事で「経済産業大臣の確認・認定」件数は、約5年経過した時点でそれぞれ約3000件と約600件となっています。そこで、平成25年度税制改正大綱において、事業承継・継続・雇用維持という観点から後継者は親族でなくても良いと記述されています。相続評価上、高額となってします非上場会社の経営者は、納税猶予額を算定の上、条件確認と手続きを踏まれてはと思います。「経済産業大臣の確認」自体書類を提出することによる不利益は無いため、ご検討をされてはと思います。

①会社の要件

ⅰ中小企業者であること。

ⅱ上場会社、風俗営業会社でないこと。

ⅲ従業員が1人以上であること。

ⅳ資産管理会社に該当しないこと。

②現経営者の主な要件

ⅰ会社の代表者であったこと。

ⅱ相続開始直前において、現経営者とその親族で総議決権数の過半数を所有し、かつこれらの者の中で筆頭株主であ

ったこと。

ⅲ贈与税の納税猶予の場合、贈与時に役員を退任していること。

③後継者の主な要件

ⅰ現経営者の親族であること。

ⅱ相続開始の直前において役員であり、相続開始から5ヵ月後に代表者であること。

ⅲ相続開始時において、後継者とその親族で総議決権数の過半数を保有し、かつこれらの者の中で筆頭株主であるこ

と。

ⅳ贈与税の納税猶予の場合、贈与日に20歳以上で、贈与直前3年以上役員であったこと。

④納税猶予を受けるために満たすべき継続要件

ⅰ後継者が会社の代表者であること。(申告期限後5年間)

ⅱ雇用の8割以上を維持していること。(申告期限後5年間)

ⅲ後継者が筆頭株主であること。(申告期限後5年間)

ⅳ上場会社、風俗営業会社に該当しないこと(申告期限後5年間)

ⅴ猶予対象株式を継続保有していること(5年間経過後)

ⅵ資産管理会社に該当しないこと(5年間経過後)

※猶予されていた税額の納付が全額免除される場合

ⅰ現経営者が死亡した場合(贈与税)

ⅱ後継者が死亡した場合(相続税・贈与税)

ⅲ会社が破産・特別清算した場合(5年経過後の相続税・贈与税)

ⅳ次の後継者に猶予対象株式を生前贈与して贈与税の納税猶予を受ける場合(5年経過後の相続税)

⑤納税猶予を受けるための手続き

ⅰ経済産業局で確認

ⅱ経済産業局に相続開始後8カ月目までに、確認書を添付して申請

または、

経済産業局に贈与の翌年3月15日までに、確認書を添付して申請

ⅲ税務署に相続税の申告書を認定書と共に提出

または、

税務署に贈与税の申告書を認定書と共に提出

ⅳ経済産業局に「年次報告書」、税務署に「継続届出書」を毎年提出(5年間)

ⅴ税務署へ「継続届出書」を3年に1度提出(5年経過後免除されるまで)

⑥主な作成および添付書類

ⅰ確認(承継計画書・確認申請書・定款及び株主名簿写し・登記事項証明書・誓約書・現経営者及び親族の戸籍謄本ま

たは、抄本

ⅱ認定(認定申請書・経済産業大臣から交付された確認書・定款及び株主名簿の写し・登記事項証明書・従業員数証明

書・貸借対照表・損益計算書・誓約書・被相続人、相続人及び親族の戸籍謄本又は抄本・遺言書又は遺産分割協議書の

写し及び相続税の見込み額を記載した書類

ⅲ納税猶予(相続税等の期限内申告書・認定書の写し・認定申請書の写し・定款及び株主名簿の写し・登記事項証明書・従

業員数証明書・後継者の戸籍謄本又は抄本・貸借対照表・損益計算書・遺言書又は遺産分割協議書の写し及び相続人全

員の印鑑証明書

 

1、事業承継を円滑に進めるためには計画性が必要です。

①親族内承継

ⅰ関係者理解の為の事業承継計画作成

ⅱ後継者教育(社内教育・社外研修・セミナー)

ⅲ株式・財産分配の為に、株式保有状況の把握、財産分配の方針、生前贈与、遺言作成、会社法の検討等

②親族外承継

ⅰ関係者理解の為に、事業承継計画作成と親族の理解

ⅱ後継者育成(社内教育・社外研修・セミナー)

ⅲ株式・財産の分配の為、後継者への経営権集中化、種類株式の活用、MBOの検討等

ⅳ個人保証・担保処理

③M&A

ⅰ仲介機関への相談

ⅱ会社売却価格の算定と相手先の選定

ⅲM&Aの具体的実行

④現状把握の第1歩

ⅰ会社の現状把握(資産・負債の状況、損益・キャッシュフローの現状と将来予想、会社の競争力、従業員の現状等)

ⅱ経営者の現状把握(資産・負債の把握、個人保証の把握、保有株式の現状等)

ⅲ後継者の現状把握(後継者の能力、親族内・外からの後継者選び等)

ⅳ相続時の予想事項(相続人の現状、相続財産の特定・分配と算定及び納税方法、従業員・取引先の心情等)

以上を、書面に書き出し、まず経営者が把握・認識することが大切です。

そのお手伝いを第三者を入れて実施する方が、親族内・従業員等からの疑念・疑心を取り除くことができます。

 

「現状で手一杯で先々のことを考えるのは面倒だ」事業承継
「まだ先のことだから」
「後継者がなかなか見つからない」
「まだ経営に影響力を行使したい」
「死亡という不幸を連想するから嫌だ」

といって事業承継対策を先送りにしていませんか?
対策をせずに放置していると、いざ事業承継という時に・・・

相続を巡って揉め事が起きる
× 後継者が経営ノウハウを知らない
× 取引先・従業員の信頼を得られないという問題が生じる場合があります

◎事前に後継者の候補者を見つけ、育成し、徐々に経営権を移していくといった計画的な取り組みが大切です。

 

1.事業承継の方法

後継者へ承継、自社株式を他社に売却、事業を他社に譲渡するなど様々な方法があります。

2.後継者へ承継する場合の注意点

(1)経営そのものの承継 ①後継者教育により経営者として必要な「経営ノウハウ」を習得させる。
②経営理念を明確にし、「何のために経営するのか」を伝える。
(2) 自社株式・事業運用資産の承継
①自社株式や事業用資産の後継者への集中による相続紛争を防止するため、遺留分の配慮をする。
②相続税や他の相続人への配慮など、必要な資金を確保する。

 

3.事業承継計画

事業承継計画とは、中長期の経営計画に、事業承継の時期、具体的な対策を盛り込んだものです。
計画を立案するに当たっては、まず最初に会社をとりまく状況を正確に把握することが必要です。

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会計プロフェッショナルの税務事案奮闘記
深井和巳 監修
日本公認会計士協会京滋会 編著

租税法判例について、日々生起する相談案件を、京都で開業する公認会計士事務所で働く会計士により、判例中心で読み解くストーリー仕立てで構成。