その他

改正の概要
高額特定資産を取得した場合の事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を制限する措置の対象は、一の取引単位につき支払対価の額が税抜1,000万円以上の資産とされていますが、これに、その課税期間において取得した金又は白金の地金等の額の合計額が200万円以上である場合が加えられました。
▶令和6年4月1日以後に国内において事業者が行う金又は白金の地金等の課税仕入れ及び保税地域から引き取られる金又は白金の地金等について適用

1.改正の内容

 社会通念に照らして申告義務を認識していなかったとは言い難い高額無申告に対して、増差税額が300万円超の場合の無申告加算税の課税割合を30%(改正前20%)に引き上げています。
なお、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告等をする、調査通知後・更正等予知前に申告した場合には5%軽減され、25%となります。

<改正のイメージ>財務省資料より

また、一定期間繰り返し行われる悪質な無申告行為に対しては、前年度及び前々年度の国税について、無申告加算税又は無申告重加算税を課される者が行う更なる無申告行為に対して、無申告加算税又は無申告重加算税を10%加重する措置が講じられます。

 ただし、過去5年以内に無申告加算税等が課された者が再び「無申告又は仮装・隠ぺい」に基づく修正中告書の提出等を行った場合に課される無申告加算税等の加重措置のいずれかの適用となります。

2.適用期日

令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。

1.改正の内容

 令和5年5月にはマイナンバーカード機能のスマホ搭載により、スマホ一つで様々な手・ビスが利用可能になりました。

 e-Taxにおけるスマホからのマイナンバーカード方式の利用については、申請等を行う際に毎回マイナンバーカードの読み取りが必要でしたが、マイナンバーカード機能が搭載されたスマホからの利用が可能になり、IDやパスワードの入力が不要となるなどの措置が講じられます。

2.適用期日

 令和7年1月1日以後に行う申請等または同日以後に行う国税の納付について適用されます。

1.制度の概要

 ダイレクト納付は、e-Taxにより電子申告等をした後、納税者自身名義の預貯金口座から、即時又は指定した期日に、口座引落しにより国税を電子納付する手続です。

 利用にあたっては、事前にe-Taxの利用開始手続を行った上、税務署または利用する金融機関に「ダイレクト納付利用届出書」を提出するか、e-Taxで同届出書をオンライン提出する必要があります。

2.改正の内容

ダイレクト納付を利用できるのは、e-Taxの利用可能時間内と、ダイレクト納付が利用可能な金融機関のオンラインサービス提供時間内です。

 e-Taxの利用可能時間内であっても、ダイレクト納付で利用する金融機関によってはオンラインサービス提供時間外となってしまう時間もあり、ダイレクト納付の即時納付が行えない場合がありました。
こうした場合に、たとえ法定納期限に手続を行ったとしても、ダイレクト納付による納付が法定納期限の翌日に取り扱われ、延滞税が発生していました。改正により、期限内申告等と併せてダイレクト納付の手続が法定納期限に行われた場合(1億円以下の税額に限る)法定納期限に納付があったものとみなされるようになり、延滞税が発生しないことになります。

3.適用期日

令和6年4月1日以後に行うダイレクト納付の手続について適用されます

1.制度の概要

 「給与所得の源泉徴収票」は、給与等を支払ったすべての者について作成し交付することとされていますが、税務署に提出するものについては一定の者に限られています。

 一方で、市区町村へ提出する「給与支払報告書」は税務署への「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲とは異なり、すべての受給者の給与支払報告書を、受給者のその年の翌年の1月1日現在の住所地の市区町村へ、その年の翌年の1月31日までに提出しなければなりません。

2.改正の内容

 源泉徴収票の提出方法について、次の見直しが行われました。

 まず、給与等の支払いをする者が、市区町村へ「給与支払報告書」を提出した場合には、その報告書に記載された給与等について、税務署長に「給与所得の源泉徴収票」を提出したものとみなされることとなります。

 この見直しに伴い、給与所得の源泉徴収票の税務署長への提出が不要とされる範囲が、市区町村への給与支払報告書と同様となりました。具体的には、年の途中で退職した者に対する年中の給与等の支払金額が30万円以下の場合となります。

 また、公的年金等の源泉徴収票の提出方法についても同様の改正が行われています。

3.適用期日

 令和9年1月1日以後に提出すべき給与所得及び公的年金等の源泉徴収票について適用されます。

Ⅰ 優良電子帳簿の範囲の見直し 

1.改正の内容

 税務関係帳簿書類の電子帳簿保存では、事後検証可能性の高い「優良電子帳簿」の要件を満たし保存等がされている場合には、その帳簿記載事項に関して申告漏れがあったときに課される過少申告加算税が軽減される措置が設けられています。

 この軽減措置の対象帳簿(所得税・法人税)は「仕訳帳、総勘定元帳その他必要な帳簿(全て)」とされていますが、改正により対象帳簿の範囲が合理化かつ明確化され、「その他必要な帳簿」は以下の帳簿に限ることとされました。なお、現金出納帳や当座預金出納帳などは対象外です。

<対象帳簿の具体例>

  • 売上帳、仕入帳、経費帳(賃金台帳を除きます)、売掛帳、買掛帳
    (注) 所得税の場合は賃金台帳も対象
  • 受取手形記入帳、支払手形記入帳、貸付帳、借入帳、有価証券受払い簿
  • 固定資産台帳、繰延資産台帳 等

2.適用期日

 令和6年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用されます。

 

Ⅱ 電子取引データ保存の見直し 

1.改正の内容

 (1)新たな猶予措置の創設

  電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度では、原則、「改ざん防止」「検索機能の確保」「見読可能装置の備付け」等の保存要件に従って、電子取引データを保存しなければなりません。

  この保存要件を満たすシステム対応を相当の理由により行うことができなかった事業者について、今回の改正では、令和6年1月1日より新たな猶予措置が設けられることとなりました

 猶予措置が適用されるのは、電子取引データの各保存要件を満たすシステム対応を行うことができなかったことに「相当の理由がある」と納税地等の税務署長が認める場合で、適用にあたっての事前手続はいりません。
 税務当局への従前の出力書面の提示・提出に加えて、電子取引データのダウンロードの求めに応じることができるようにしておけば、検索機能の確保の要件等を不要として、電子取引データの保存が可能となります。

 (2)保存要件の緩和

  電子取引データの保存義務者が、国税職員の質問検査権に基づく電子取引データのダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合に検索要件の全てが不要とされる措置は、以下の者が対象となります。

  ①その判定期間における売上高が5,000万円以下(現行1,000万円以下)の事業者
  ②その電子取引データの出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力され、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されるものに限ります)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている事業者
  なお、電子取引データの保存を行う者等に関する情報の確認要件は廃止されます。

2.適用期日

令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電子取引データについて適用されます。

Ⅲ スキャナ保存制度の見直し 

1.改正の内容

 国税関係書類に係るスキャナ保存制度について、次の見直しが行われました。

①入力者情報の確認について、現行は、国税関係書類を入力した者またはその者を直接監督する者に関する情報を確認できるようにしておく必要がありますが、その確認が不要となります。

②国税関係書類をスキャンした際に保存するデータの情報についての保存要件が廃止され、
 解像度200dpi以上、256階調、大きさの情報確認が不要となります。

③スキャンした電子データとこれに関連する国税関係帳等の記録事項との間において、相互にその関性を確認できるようにしておく相互関連性要件については、賃金や物の異動に直結・」連動する契約書や領収書、請求書等の「重要書類」に限定し、見積書や注文書などの「一般書類」は要件を確保する必要がなくなります。

3.適用期日

令和6年1月1日以後に保存が行われる国税関係書類について適用されます。

スキャナ保存制度の要件  (国税庁資料より)

要 件 重要書類 一般書類
入力期間の制限
(書類の受領等後又は業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに入力)
 
一定水準以上の解像度(200dpi以上)による読み取り
カラー画像による読み取り(赤・緑・青それぞれ256階調(約1677万色)以上)
タイムスタンプの付与
解像度及び階調情報の保存 〇→不要 〇→不要
大きさ情報の保存 〇→不要  
ヴァージョン管理(訂正又は削除の事実及び内容の確認等)
入力者等情報の確認 〇→不要 〇→不要
スキャン文書と帳簿との相互開連性の保持 〇→不要
見読可能装置(14インチ以上のカラーディスプレイ、4ポイント文字の認識等)の備付け
整然・明瞭出力
電子計算機処理システムの開発関係
書類等の備付け
検索機能の確保

※グレースケールでの保存可
  〇→不要  部分は今改正での変更点

 

 

 

 

1.制度の概要

NISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)とは
「Nippon Individual Savings Account」の略称で、英国の個人貯蓄口座(ISA)をモデルにした「日本版ISA」です。
本来は、株式や投資信託など金融商品への投資から得られる配当・分配金や売却益には約20%の税金がかかりますが、NISAは個人の資産運用を後押しするために作られた税制の優遇制度で、購入した株式や投資信託などの売却益や配当金が一定の範囲内で非課税となります。

 令和5年までのNISAには3つの種類があり、どれか1つを選択

①一般NISA

毎年120万円の非課税投資枠が設定され、上場株式・ETF・REITなど株式・投資信託等の配当・譲渡益が非課税対象で、非課税保有期間は5年間
投資期限は令和10年までとされています。

②つみたてNISA 毎年40万円の非課税枠が設定され、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に投資が可能で、非課税保有期間は20年間
投資期限は令和24年までとされています。
③ジュニアNISA 未成年者を対象とした少額投資非課税制度で、2親等以内の親族が運用管理者となります。毎年80万円の非課税投資枠が設定され、株式・投資信託等の配当・譲渡益が非課税対象。
投資可能期間は今年で終了します。

2.新NISA  改正の内容(令和6年以降)

(1)「一般NISA→『成長投資枠』」と 「つみたてNISA→『つみたて投資枠』」の併用が可能に
 現行では、上場株式の投資が可能な「一般NISA」と一定の投資信託を対象とする「つみたてNISA」の2種類から、どちらかを選択しなければなりません。
 新NISAでは、一般NISAを「成長投資枠」に、つみたてNISAを「つみたて投資枠」に名称変更するとともに、両投資枠の併用が可能となりました。

(2)非課税保有期間を無期限・恒久的措置に
 若年期から高齢期に至るまで継続的な資産形成を行えるよう非課税保有期間を無期限に、口座開設可能期間も期限を設けない恒久的措置となり、これまでのロールオーバーなどの面倒な手続きがなくなります。

(3)年間投資上限額が最大360万円に
 現行の一般NISAが120万円、つみたてNISAが40万円となっている年間投資上限額について、成長投資枠は2倍の240万円に、つみたて投資枠は3倍の120万円とし、両枠を併用することにより最大で年間360万円までの投資が可能となります。

(4)生涯非課税限度額 最大1,800万円
 新たに「一生涯の非課税限度額」が設けられ、非課税保有限度額が買付金額ベースで合計1,800万円に設定され、このうち成長投資枠は1,200万円までとされています。

(5)現行NISAの対応
 現行NISA及びつみたてNISAについては、今月末で買付が終了となりますが、非課税口座内にある商品については、新しい制度における非課税限度額の枠外で、現行の取扱いが継続されます。

(6)ジュニアNISAの手続きの省略
 ジュニアNISAも今年末で新規買付が終了します。
今年末までにジュニアNISAで投資した商品は、5年間の非課税期間終了後も、一定の手続きを経ることで18歳になるまでは非課税措置を受けられることとなっていますが、利用者利便を考慮してその手続きを省略できることとされました。


3.適用時期

令和6年1月1日から適用されます。

 


国税通則法関係の改正
Ⅱ電子帳簿保存制度

4国税関係書類に係るスキャナ保存制度及び電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度における電磁的記録の適正な保存を担保するための措置の整備

(1)国税関係帳簿又は国税関係書類等とみなす電磁的記録等の整備

①一定の要件に従って備付け及び保存が行われている国税関係帳簿又は保存が行われている国税関係書類に係る電磁的記録又はCOMに限り、その国税関係帳簿又は国税関係書類とみなすこととされました。

②一定の要件に従って保存が行われている電子取引の取引情報に係る電磁的記録に限り、国税関係書類以外の書類とみなすこととされました。

国税通則法関係の改正
Ⅱ電子帳簿保存制度

3電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度の見直し

(1)電磁的記録の出力書面等による保存措置の廃止
電子取引の取引情報に係る電磁的記録を出力することにより作成した書面又はCOMの保存をもって、その電磁的記録の保存に代えることができる措置が廃止されました。

(2)真実性の確保の要件を満たす措置の整備
受領者側によるタイムスタンプ付与による措置について、次に掲げる方法のいずれかにより、その電磁的記録の記録事項にタイムスタンプを付すとともに、その電磁的記録の保存を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくことで足りるものとされました。

(3)検索機能の確保の要件の整備
保存義務者が国税に関する法律の規定によるその電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている場合には一定の検索機能の確保の要件が不要とされるとともに、その保存義務者が、その判定期間に係る基準期間における売上高が1,000万円以下である事業者である場合であって、その要求に応じることができるようにしているときは、全ての検索機能の確保の要件が不要とされました。

国税通則法関係の改正
Ⅱ電子帳簿保存制度

2 国税関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し

(1)承認制度の廃止
国税関係書類に係るスキャナ保存に係る承認制度が廃止されました。

(2)国税関係書類に係るスキャナ保存要件の見直し

 ①タイムスタンプに係る電子計算機処理システムの要件について、国税関係書類の作成又は受領後、速やかに一の入力単位ごとの電磁的記録の記録事項に、一般財団法人日本データ通信協会が認定する業務に係るタイムスタンプを付すことで足りるものとされました。

 ②適正事務処理要件が廃止されました。

 ③検索機能の確保の要件について、記録項目が取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先に限定されるとともに、保存義務者が国税に関する法律の規定によるその国税関係書類に係る電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている場合には、一定の検索機能の確保の要件が不要とされました。

(3)要件に従ってスキャナ保存が行われていない場合の国税関係書類に係る電磁的記録の保存措置の整備
国税関係書類に係る電磁的記録のスキャナ保存が保存要件に従って行われていない場合には、保存義務者は、その国税関係書類の保存場所に、その国税関係書類の保存をしなければならないこととされている期間、その電磁的記録を保存しなければならないこととされました。

国税通則法関係の改正
Ⅱ電子帳簿保存制度

1 国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度の見直し

(1)承認制度の廃止
 国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存等に係る承認制度が廃止されました。

(2)国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度の見直し
 ①国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等について、正規の簿記の原則に従い、整然と、かつ、明瞭に記録されているもの以外のものが対象から除外されました。
 ②国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存等について、電磁的記録の訂正・削除・追加の履歴の確保等の要件が除外された上、その国税関係帳簿書類に係る電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしておくことが要件とされました。

(3)優良な電子帳簿保存制度の整備
 一定の国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存又はその電磁的記録の備付け及びCOMの保存が、
国税の納税義務の適正な履行に資するものとして一定の要件を満たしている場合における
その電磁的記録又はCOMに記録された事項に関し修正申告等があった場合の過少申告加算税の額
については、通常課される過少申告加算税の金額からその修正申告等に係る過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額の5%に相当する金額を控除した金額とすることとされました。

Ⅰ 税務関係書類における押印義務の見直し

 国税通則法、税理士法、国税徴収法、電子帳簿保存法等において提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、書類提出者等の意思確認が真に必要な書類として実印による押印及び印鑑証明書の添付を求めるもの(不動産の抵当権設定登記承諾書等)を除き、押印を要しないこととされました。

質問検査権とは
適正公平な課税の確保の観点から、税務職員が納税義務者等に対して質問し、帳簿書類その他の物件を検査し、またはその物件の提示もしくは提出を求めることができる権利。

 法人税等(法人税、地方法人税又は消費税)についての調査通知があった後に対象法人の納税地の異動があった場合でも、その異動前の納税地(旧納税地)の所轄税務署長等が必要があると認めるときは、旧納税地の所轄税務職員等でも、移動後の納税地(新納税地)の税務職員等に代わり、対象法人を調査する質問検査権を行使できるようになります。

適用期日
 令和3年7月1日以後に開始される法人税等に関する調査について適用されます。

納税管理人制度とは
 国外への転出などで国内に住所を有していない又は有しないこととなる納税者は、納税申告書の提出その他の国税に関する事項を処理する必要がある場合には、納税管理人を定め、届け出なければなりません。指定された納税管理人は、その納税者に代わり、以下の事務を行うことになります。

・国税に関する法令に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の作成ならびに提出
・税務署長等(その所属職員を含む)が発する書類の受領
・国税の納付および還付金等の受領

1 納税管理人の届出の求め

 納税管理人を定めるべき納税者(特定納税者)が納税管理人の届け出をしなかったときは、所轄税務署長等は、その特定納税者に対し、納税管理人に処理させる必要があると認められる事項(特定事項)を明示して、60日を超えない範囲内においてその準備に通常要する日数を勘案して指定する日(指定日)までに、届出をすべきことを求めることができるようになります。
 

2 納税管理人となることの求め

 特定納税者が納税管理人の届け出をしなかったときは、所轄税務署長等は、国内に住所又は居所を有する者で特定事項の処理につき便宜を有する者(国内便宜者)に対し、その納税者の納税管理人となることを書面で求めることができるようになります。
 

3 特定納税管理人の指定

 所轄税務署長等は特定納税者が1の指定日までに納税管理人の届出をしなかった場合には、2で求めた国内便宜者のうち、個人・法人でそれぞれ次の者を納税管理人として指定できるようになります。

① 特定納税者が個人の場合
 ・特定納税者と生計を一にする配偶者その他親族で成年に達した者
 ・特定納税者の国税の課税標準等または税額等の計算の基礎となるべき事実について、その特定納税者との間の契約により密接な関係を有する者
 ・電子情報処理組織を使用して行われる取引その他の取引をその特定納税者が継続的に行う場を提供する事業者

② 特定納税者が法人の場合
 ・特定納税者との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の50%以上を保有する関係その他の特殊の関係のある法人
 ・特定納税者の役員またはその役員と生計を一にする配偶者その他の親族で成年に達した者
 ・特定納税者の国税の課税標準等または税額等の計算の基礎となるべき事実について、その特定納税者との間の契約により密接な関係を有する者
 ・電子情報処理組織を使用して行われる取引その他の取引をその特定納税者が継続的に行う場を提供する事業者
 

適用期日
 令和4年1月1日から施行されます

所得税の確定申告等について、次の見直しが行われました。

1 還付申告者の申告義務の見直し

計算した所得税の合計額が配当控除額を超える場合でも、控除しきれなかった外国税額控除額や源泉徴収税額、予納税額があるときは、還付申告の提出義務がなくなり、この場合の還付申告書の提出期間については、所得税の申告義務のない者の還付申告書の提出期間(その年の翌年1月1日から5年間)と同じになります。

2 財産債務調書の提出義務者の範囲の維持

1の改正に伴い、財産債務調書の提出義務者の範囲については、見直しの対象となる還付申告者を含め、所得金額2,000万円超かつ所有財産3億円以上(国外転出特例対象財産の場合は1億円以上)の者が対象となります。

適用期日
令和4年1月1日以後に確定申告書の提出期限が到来する所得税について適用されます。

税務関係書類について、次に掲げるものを除き、押印が不要となりました。
・担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、
  実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
・相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち
  財産の分割の協議に関する書類

なお、国税犯則調査手続における質問調書等への押印については、刑事訴訟手続に準じた取扱いとなります。

適用期日
令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用されます。

5 クラウド等を利用した支払調書等の提出方法の整備

 支払調書の提出をするものは、クラウド等を利用して法定調書の提出を行う旨をあらかじめ税務署長に届け出た場合には、
①国税庁長官が定める基準に適合することについて認定を受けたクラウド等※に備え付けられたファイルに、その法定調書のデータを記録し、かつ、
②税務署長に対して法定調書のデータを閲覧する等の権限(アクセス権)を付与する方法により、クラウド等を利用した支払調書等の提出が可能になります。
 また、法定調書の提出義務者がアクセス権の付与を行うことから、電子署名および電子証明書は不要となります。
 
※認定事業者・クラウドは国税庁HPで公表予定

適用期日
 令和4年1月1日以後に提出する支払調書等について適用されます。

6 地方税共通納税システムの対象税目の拡大

地方公共団体の収納事務を行う地方税共同機構が電子的に処理する特定徴収金の対象税目に「固定資産税・都市計画税・自動車種別割・軽自動車税種別割」を加え、eLTAX(地方税のオンライン手続きのためのシステム)を通じて電子的に納付を行うことができるようになります。

適用期日
 令和5年度以後の課税分について適用されます。

7 個人住民税の特別徴収税額通知の電子化

①特別徴収義務者用(企業等)
 給与所得に係る特別徴収税額通知(特別徴収義務者用)について、
eLTAXを経由して給与支払報告書を提出する特別徴収義務者が申出をしたときは、市町村は、その通知内容を、eLTAXを経由し、その特別徴収義務者に提供しなければならないこととなります。
 また、選択的サービスとして行われている、書面による特別徴収税額通知(特別徴収義務者用)の送付の際の電子データの副本送付は、終了することになります。

②納税義務者用(従業員)
 給与所得に係る特別徴収税額通知(納税義務者用)について、
eLTAXを経由して給与支払報告書を提出する特別徴収義務者であって、個々の納税義務者に通知内容を電磁的方法により提供することができる体制の者が申し出たときは、市町村から、その通知内容がeLTAXを経由して特別徴収義務者に提供されます。
 この場合、その特別徴収義務者は、通知内容を電磁的方法により納税義務者に提供します。

適用期日
 令和6年度分以後の個人住民税について適用されます。

1 スマホを利用した決済サービスによる納付手続きの創設

 国税を納付しようとするものがスマホを使用した決済サービス(○○payなど)を利用してインターネットから納付する場合には、国税庁長官が指定する納付受託者に納付を委託することができることになります。
 対 象:納付書で納付できる国税で、税目についての制限はありません。
 税 額:スマホアプリ業者の取扱いを踏まえ、30万円以下に限定されます。
 手数料:国が負担することとなり、利用者(納税者)の負担はありません。
 
 納付受託者が納付委託を受けた日を国税の納付があった日とみなして、延滞税・利子税等に関する規定の適用がされます。
 また、適正なスマホ納付を実現するため、納付受託者の指定・取消し、納付義務・帳簿保存義務・報告義務などについて所要の措置が講じられます。

適用期日
 令和4年1月4日以後に納付する国税について適用されます。
 

2 国外からの納付手続の拡充

国外に住所又は居所を有する納税者が行う国税の納付について、国外の金融機関を通じて国税徴収官吏の国内預金口座に送金する方法により行うことができるようになります。

適用期日
 令和4年1月4日以後に納付する国税について適用されます。
 

3 e-Taxによる申請等の方法の拡充

税務署長等に対する申請等でe-Taxによりその申請等に係る書面に記載すべき事項を入力して送信することができないものについて、書面による提出に代えて、スキャナによる読み取り等によって作成した電磁的記録(PDFなどのいわゆる「イメージデータ」)の送信により行うことができるようになりました。

適用期日
 令和3年4月1日以後に行う申請等について適用されます。
 ただし、改正の趣旨を踏まえ、施行日前であっても運用上、イメージデータによる送信ができることとされていました。
 

4 処分通知等の電子交付の拡充

電子交付できる処分通知等の範囲に、下記の3種類が加えられます。
① 加算税の賦課決定通知書の送付
② 所得税の予定納税額等の通知(予定納税額の減額承認申請に対する処分に係る通知を含む)
③ 国税還付金振込通知書の送付

適用期日
 ①は令和4年1月1日以後に行う送付に、
 ②は令和5年1月1日以後に行う通知に、
 ③は令和5年6月1日以後に行う送付に、それぞれ適用されます。

1 電子帳簿等保存制度に係る手続きの簡素化

電子帳簿等保存とは
 文書保存の負担軽減を図る観点から各税法で保存が義務付けられている帳簿書類は、一定の要件の下で、プリントアウトせずに、作成した電子データのまま保存することができます。

改正の内容

①事前承認の廃止
 税務署長の事前承認制度が廃止されます。

②保存要件の緩和
 保存要件については従来の「システム関係書類等を備え付けること」、「電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、記録事項を画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できること」に加えて、「国税職員の質問検査権に基づくその国税関係帳簿書類に係るデータのダウンロードの求めがある場合にはこれに応じること」を満たすことで電子データの保存を可能とするよう要件が緩和されます。

③インセンティブによる差別化
 従来の保存要件を満たして電子データを保存し、その旨を届け出た者(優良電子帳簿保存)については、所得税、法人税または消費税に係る修正申告や更生があった場合には、過小申告加算税が5%軽減されます。

④青色申告特別控除の取扱い
 見直しに伴い、所得税の青色申告特別控除の控除額65万円の適用要件については、優良電子帳簿保存の場合にのみ適用され、一般電子帳簿保存の場合には適用されません。

適用期日
 令和4年1月1日から施行され、上記1①②は同日以後に備付けを開始する国税関係帳簿又は保存を行う国税関係書類について、③は同日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。

2 スキャナ保存制度の要件緩和及び不正行為に係る担保措置の創設

スキャナ保存とは
 文書保存の負担軽減を図る観点から、各税法で保存が義務付けられている書類について一定の要件の下で、紙のままではなくスキャナで読み取った電子データの形式で保存することができます。

 対象となる書類
 ・取引相手から受け取った書類
 ・自己が作成して取引相手に交付する書類の写し
  (例)契約書、見積書、注文書、納品書、請求書、領収書 など

改正の内容

①事前承認の廃止
 税務署長の事前承認制度が廃止され、事務負担が軽減されます。

②保存要件の緩和
・タイムスタンプ要件の緩和

 国税関係書類の受領者等がその書類に署名し読み取った上、タイムスタンプを3日以内に付与する必要がありましたが、自署が不要となり、タイムスタンプの付与期間が2か月以内へと延長されます。
 また、保存データについて訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができるシステムにおいて、そのデータを保存することでタイムスタンプ付与に代えることができます。

・適正事務処理要件の廃止
 相互けん制や定期的な検査及び再発防止策の社内規定整備等の適正事務処理要件については、廃止されるため、紙原本による確認が不要となります。このため、スキャン後は直ちに原本の廃棄をすることができるようになります。

・検索要件の緩和
検索項目が取引等の年月日、取引金額及び取引先に限定されるとともに、保存義務者が国税職員による調査の際に保存データのダウンロードに応じる場合に、範囲指定および項目を組み合わせて設定できる機能を確保しておく必要がなくなります。

③不正行為に係る担保措置
 要件を緩和する一方で、不正行為抑止のため、電子データに関連して改ざん等の不正が把握された場合には、重加算税を10%加重する措置が講じられます。

適用期日
 令和4年1月1日から施行され、上記2①②は同日以後に備付を開始する国税関係帳簿又は保存を行う国税関係書類について、③は同日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。

3 電子取引に係るデータ保存制度の要件の見直し

電子取引とは
 取引情報(取引に関して受領し、または交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいいます)の授受を電磁的方法により行う取引をいいます。

改正の内容

①保存要件の緩和
・タイムスタンプ要件

 スキャナ保存制度と同様に付与期間が2か月以内へと延長されます。

・検索要件の緩和
 上記2②の検索要件の緩和と同様の措置がとられるほか、保存義務者が判定期間中の売上高1,000万円以下の事業者の場合には、全ての検索要件が不要となります。

判定期間とは、
 個人事業者の場合は、電子取引が行われた日の属する年の前々年の1月1日から12月31日までの期間、法人の場合は、電子取引が行われた日の属する事業年度の前々事業年度をいいます。

②不正行為に係る担保措置
 上記2③と同様の措置がとられます。

③書面出力による保存の廃止
 電子取引の取引情報に係る電磁的記録を出力することにより作成した書面等の保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができる措置については、廃止されます。

適用期日
 令和4年1月1日から施行され、同日以後に行う電子取引の取引情報について適用されます。

日本公認会計士協会「株式新規上場(IPO)のための事前準備ガイドブック」より抜粋

1⃣ 帳簿書類のデータ保存関係の見直し

自社で作成した仕訳帳等や貸借対照表等の帳簿書類をデータ保存するには、税務署長の承認が必要ですが、令和4年1月1日以後、その承認が廃止されます。

【帳簿のデータ保存の要件】

要件概要不要
税務署長の承認税務署長に「承認」を受けること
①訂正・削除履歴の確保記録事項の訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること 等
②相互関連性の確保帳簿の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間において、相互に関連性を確認できること
③関係書類等の備付けシステム関係書類等の備付けを行うこと
④見読可能性の確保電子計算機等を備え付け、記録事項をディスプレイの画面等に、整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できること
⑤検索機能の確保取引年月日、勘定科目、取引金額その他の帳簿の種類に応じた主要な記録項目を検索条件として設定できること 等
新設要件税務職員の質問検査権に基づく帳簿書類データのダウンロードの求めがある場合に応じることとすること

2⃣ スキャナ保存関係の見直し

定期検査不要で紙原本を廃棄可能
取引相手から受け取った請求書や領収証等をスキャンしデータ保存(スキャナ保存)する場合も、令和4年1月1日以後、税務署長の承認が不要となります。

【請求書等のスキャナ保存の要件】

要件概要不要
税務署長の承認税務署長に承認を受けること
タイムスタンプ等①書類の受領後「一定期間内(最長約2月以内)」にタイムスタンプを付与すること
②受領者等の自署

※1
適正事務処理相互けん制、定期的な検査、再発防止の社内規定に基づき事務処理をすること
検索機能の確保①「一定事項(取引年月日、取引金額、取引先)」を検索条件に設定できること
②日付又は金額の記録項目の範囲を指定して条件設定できること
③二以上の任意の記録を組み合わせて条件設定できること
※2
※1 データの訂正又は削除の事実及び内容を確認できるシステム(訂正又は削除をできないシステムを含む)にデータを保存した場合は、タイムスタンプの付与は「不要」。
※2 税務職員の質問検査権に基づくデータのダウンロードの求めに応じることとする場合は、②③の要件は不要。

3⃣ 電子取引のデータ保存関係の見直し

売上1,000万円以下等では検索要件が不要に
取引相手と契約書や領収書等の取引情報をデータでやりとりする電子取引では、税務署長の承認は不要でデータ保存ができるが、一定の保存要件があります。

【電子取引のデータ保存の要件】

要件概要不要
検索機能の確保①「一定事項(取引年月日、取引金額、取引先)」を検索条件に設定できること
②日付又は金額の記録項目の範囲を指定して条件設定できること
③二以上の任意の記録を組み合わせて条件設定できること
※3
タイムスタンプ等取引情報の受領後「一定期間内(最長約2月以内)」にタイムスタンプを付与すること
※3 税務職員の質問検査権に基づくデータのダウンロードの求めに応じることとする場合は、②③の要件は不要。
判定期間(電子取引が行われた日の属する事業年度の前々事業年度)の売上高が1,000万円以下である場合に、税務職員の質問検査権に基づくデータのダウンロードの求めに応じることとすれば、①②③の要件は不要。

4⃣ スキャナ保存と電子取引の適正保存の担保措置

データの仮装隠蔽で重加算税を10%加重
スキャナ保存と電子取引のデータ保存では、保存要件が緩和された一方、適正保存のための担保措置がとられます。データの記録事項に関し仮装隠蔽があり、更生等があった場合は、その記録事項に係る申告漏れの重加算税を10%加重(申告漏れに係る本税の10%相当額を加重)する措置がとられます。令和4年1月1日以後の申告期限等に係る国税に適用されます。

減資とは

 会社法において、減資とは資本金を減少する手続きです。減資には、実際に出資額を株主に払い戻す「有償減資」と帳簿上の資本金の金額を減少する「無償減資」があります。
 減資は、会社の財産を減少させるという重要な行為にあたるため、原則、株主総会の特別決議が必要になります。また、会社財産の減少により不利益を被る恐れのある債権者の保護手続きが必要になります。

減資の目的

資本金を減少させる以外の減資の目的には、資本金の減少によって得られた剰余金を原資として株主へ配当を実施する「有償減資」、資本金の減少によって生じた剰余金による「欠損のてん補」、あるいは「資本金の減少と株式数の減少を併用する」などがあります。

減資の手続き

減資には原則として株主総会の特別決議(株主の過半数が出席、そのうち2/3以上の賛成)が必要になりますが、「欠損のてん補」を目的とした減資など株主への影響が大きくないと考えられる場合は、株主総会での普通決議や取締役会での決議が可能です。

減資の会計処理

(1)単純な減資の場合
 借) 資本金 ××× / 貸)その他資本剰余金 ×××
(2)資本金の減少分で欠損をてん補する場合
 借) 資本金 ××× / 貸)その他資本剰余金 ×××
 借) その他資本剰余金 ××× / 貸)繰越利益剰余金 ×××
(3)剰余金の配当を伴う場合
 借) 資本金 ××× / 貸)その他資本剰余金 ×××
 借) その他資本剰余金 ××× / 貸)現金及び預金 ×××

減資の税務

・無償減資の場合
 無償減資の場合は株主資本の内訳の構成変化のみであり、株主に対する払い戻しはありません。したがって、減資によって欠損をてん補する場合を含め、法人税法上、新たな課税関係は生じません。
・有償減資の場合
 減資によって生じたその他資本剰余金を株主に配分する場合、形式的には出資の払い戻しになりますが、払い戻し金額のうち実質的に配当とみなされる部分について受け取った株主に対して配当課税が生じます(みなし配当課税)。その場合、会社には配当に係る源泉所得税の徴収義務が生じます。

連結納税制度(現行制度)グループ通算製度(新制度)
適用法人内国法人である親法人と,その親法人による完全支配関係にあるすべての子法人(外国法人等を除く)適用法人は,青色申告の承認を前提とする点を除き,基本的に連結納税制度と同様とする。
納税主体・親法人が納税義務者として法人税の申告を行う。
・各子法人に連帯納付責任がある。
・親法人及び各子法人が法人税の申告を行う。
・親法人及び各子法人には,通算グループ内の他の法人の法人税について連帯納付責任がある。
申告方法一体申告方式個別申告方式
事業年度税務上の事業年度は,親法人の事業年度に統一する。・税務上の事業年度は,連結納税制度と同様に,親法人の事業年度に合わせた事業年度とする。
・開始,加入,離脱,のみなし事業年度について,次の見直しを行うほかは,連結納税制度と同様とする。
①事業年度の途中で完全支配関係を有することとなった場合の加入時期の特例について,翌会計期間の開始日に加入したものとしてみなし事業年度を設定できる措置を加える。
②離脱法人の離脱日に開始する事業年度終了の日を親法人の事業年度終了の日とする措置を廃止する。
損益通算及び欠損金の通算可能(合算計算)可能(プロラタ計算)
開始・加入に伴う時価評価と繰越欠損金の切り捨て・親法人では時価評価は行われず,開始前の繰越欠損金は切り捨てられない。
・子法人は特定連結子法人に該当する場合を除いて,時価評価が必要となり,開始・加入前の繰越欠損金が切り捨てられる。
・開始・加入に伴う時価評価と繰越欠損金の取り扱いについて,組織再編税制と同様の要件と利用制限を課す取り扱いとする(時価評価・繰越欠損金の切り捨ての対象は縮小する)。
・親法人も制限対象とする(但し,限定的)。
SRLYルール子法人の開始・加入前の繰越欠損金(特定連結欠損金)にはSRLYルールが適用されるが,親法人の開始前の繰越欠損金(非特定連結欠損金)にはSRLYルールが適用されない。親法人及び子法人の開始・加入前の繰越欠損金(特定欠損金)にSRLYルールを適用する。
※SRLYルールとは,制度に持ち込んだ開始・加入前の繰越欠損金を自己の所得を限度にしか使用させない措置をいう。
投資簿価修正適用。適用。
但し,次の制度に改組する。
①通算グループ内の子法人の株式の評価損益及び通算グループ内の他の法人に対する譲渡損益を計上しない。
②通算グループからの離脱法人の株式の離脱直前の帳簿価格を離脱法人の簿価純資産価格に相当する金額とする。
③グループ通算制度の開始・加入をする子法人で親法人との間に完全支配関係の継続が見込まれないものの株式について,株主において時価評価により評価損益を計上する。
(注)開始・加入後損益通算をせずに2か月以内に通算グループから離脱する法人については,上記①から③までを適用しない。
離脱・離脱法人は,5年間再加入を認めない。
・離脱法人はその資産を帳簿価額のまま持ち出すことができる。
・連結納税制度と同様に,通算グループから離脱した法人は,5年間再加入を認めない。
・通算グループから離脱した法人が主要な事業を継続することが見込まれていない場合等には,その有する資産については,直前業年度において,時価評価により評価損益の計上を行う。
個別制度受取配当金の益金不算入,寄付金の損金不算入,外国税額控除及び研究開発税制所得税額控除,留保金課税等はグループ調整計算を行う。・外国税額控除及び研究開発税制については,グループ全体で税額控除額を計算する(グループ調整計算を存続する)。
・受取配当金の益金不算入はグループ調整計算となるが,計算方法は簡素化される。
・寄附金の損金不算入,所得税額控除,留保金課税などほかの個別制度については,個別計算を原則とする。
中小法人の判定親法人の資本金の額により連結グループ内の全ての法人の判定を行う。通算グループ内のいずれかの法人が中小法人に該当しない場合,通算グループ内の全ての法人が中小法人に該当しないこととする。
税率親法人の適用税率による。中小法人の軽減税率の適用対象は連結所得金額のうち年800万円までとする。通算グループ内の各法人の適用税率による。なお,中小法人の軽減税率の適用対象所得金額は,年800万円を所得法人の所得の金額の比で配分した金額とする。
電子申告・親法人が資本金1億円超の場合,連結グループを一体として法人税の電子申告義務を課す。
・電子申告の場合,親法人が個別帰属額届出書を一括提出することができる。
・グループ通算制度の適用法人には法人税の電子申告義務を課す。
・親法人の電子署名により子法人の申告及び申請,届出等を行うことができることとするほか,ダイレクト納付についても所要の措置を講ずる。
地方税・単体申告となる。
・住民税独自の繰越欠損金が生じる。
現行の基本的な枠組みを維持しつつ,国税の見直しに併せて,企業グループ内の法人の損益通算の影響が及ばないようにする等の所要の措置を講じる。
包括的租税回避防止規定包括的な租税回避防止規定(法法132の3)がある。連結納税制度と同様に,包括的な租税回避防止規定(法法132の3)を設ける。
修正・更正の取り扱い(税務調査)グループ内の1法人で修正・更正が生じた場合,企業グループ内の他の法人の所得金額及び法人税額の計算に反映させる仕組み。修正・更正が生じた場合,原則として,損益通算できる損失等の額を当初申告額に固定することにより,通算グループ内の他の法人の所得金額及び法人税額の計算に反映させない(遮断する)仕組みとする。

● 住宅ローン控除の拡充
・消費税率10%が適用される住宅所得等について、控除期間を3年延長します。
・11年目以降の3年間について、消費税率2%引上げ分の負担に着目した控除額の上限を設定します。
・適用期間は平成31年10月1日から平成32年12月31日までとします。

● 森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)の創設
・森林整備等に必要な地方税源を安定的に確保する観点から、森林環境税(仮称)(平成36年度から年額1000円)及び森林環境譲与税(仮称)(平成31年度から譲与)を創設します。

● ふるさと納税制度の見直し
・過度な返礼品を送付し、制度の趣旨を歪めているような団体については、ふるさと納税(特例控除)の対象外にすることができるよう、制度の見直しを行います。

区分 取得価額要件
機械装置 1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
工具 1台又は1基の取得価額が30万円以上のもの
器具及び備品
建物附属設備 一の取得価額が60万円以上のもの
適用要件 具体的な内容
販売が開始された
時期に係る要件
 それぞれの指定設備の属する型式区分ごとに
販売が開始された時期に係る要件に該当するもの
であること。① 機械装置:10年以内

② 工具:5年以内

③ 器具備品:6年以内

④ 建物附属設備:14年以内

 経営力向上要件 旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、
精度、エネルギー効率等)が年平均1%以上向上する
ものであること。

 

中小企業者等が、生産性向上特別措置法の施行の日から平成33年3月31日までの期間内において、同法に規定する市町村の導入促進基本計画に適合し、かつ、労働生産性を年平均3%以上向上させるものとして認定を受けた認定先端設備等導入計画に従って取得された機械装置、工具、器具備品及び建物附属設備に対して課される固定資産税の課税標準は、その機械装置等に対して新たに課されることとなった年度から3年度分の固定資産税に限り、その機械装置等に係る固定資産税の課税標準となるべき価格にゼロ以上2分の1以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額とされます。

平成32年分以後の所得税及び平成33年度分以後の個人住民税について適用します。

平成30年度税制改正において
控除額を一律10万円引き下げられるとともに、
給与収入が850万円を超える場合の給与所得控除額が195万円に引き下げられます。

給与所得控除の上限額が適用される給与等の
収入金額を850万円(改正前:1,000万円)
その上限額を195万円(改正前:220万円)に引き下げ

ただし、子育てや介護に対して配慮する観点から、22歳以下の扶養親族が同一生計内にいる者や特別障害者控除の対象となる扶養親族等が同一生計内にいる者については、負担増が生じないよう「所得金額調整控除」が創設されます。

図表:給与所得控除額

給与等の収入金額 給与所得控除額
改正前 改正後
162.5万円以下 65万円 55万円
162.5万円超 180万円以下 収入金額×40% 収入金額×40%-10万円
180万円超 360万円以下 収入金額×30%+18万円 収入金額×30%+8万円
360万円超 660万円以下 収入金額×20%+54万円 収入金額×20%+44万円
660万円超 850万円以下 収入金額×10%+120万円 収入金額×10%+110万円
850万円超 1,000万円以下 195万円
 1,000万円超    220万円

 

相互けん制が機能する体制では受領後3日以内のタイムスタンプ不要

国税庁がまとめた改正電子帳簿保存法取扱通達と電子帳簿保存法一問一答によると、平成28年度税制改正で設けられた国税関係書類の受領者等が領収書等をスマホ等で読み取る場合のタイムスタンプ(TS)の付与について、領収書等の受領者等以外のもの(経理担当者等)が書面とその国税関係書類に係る全ての電磁的記録が同等であることを確認するなど相互けん制機能が働く事務処理体制がとられている場合には、受領等後3日以内にタイムスタンプを付す必要がない旨が明確になりました(改正通達4-23の2等)。

したがって、相互にけん制する機能が働く事務処理体制の場合には、受領者等以外の経理担当者等は、受領者等から受け取った領収書等について、速やかに入力方式(1週間以内)または業務処理サイクル後速やかに入力方式(1か月+1週間以内)でタイムスタンプを付与できます。

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