減資とは
会社法において、減資とは資本金を減少する手続きです。減資には、実際に出資額を株主に払い戻す「有償減資」と帳簿上の資本金の金額を減少する「無償減資」があります。
減資は、会社の財産を減少させるという重要な行為にあたるため、原則、株主総会の特別決議が必要になります。また、会社財産の減少により不利益を被る恐れのある債権者の保護手続きが必要になります。
減資の目的
資本金を減少させる以外の減資の目的には、資本金の減少によって得られた剰余金を原資として株主へ配当を実施する「有償減資」、資本金の減少によって生じた剰余金による「欠損のてん補」、あるいは「資本金の減少と株式数の減少を併用する」などがあります。
減資の手続き
減資には原則として株主総会の特別決議(株主の過半数が出席、そのうち2/3以上の賛成)が必要になりますが、「欠損のてん補」を目的とした減資など株主への影響が大きくないと考えられる場合は、株主総会での普通決議や取締役会での決議が可能です。
減資の会計処理
(1)単純な減資の場合
借) 資本金 ××× / 貸)その他資本剰余金 ×××
(2)資本金の減少分で欠損をてん補する場合
借) 資本金 ××× / 貸)その他資本剰余金 ×××
借) その他資本剰余金 ××× / 貸)繰越利益剰余金 ×××
(3)剰余金の配当を伴う場合
借) 資本金 ××× / 貸)その他資本剰余金 ×××
借) その他資本剰余金 ××× / 貸)現金及び預金 ×××
減資の税務
・無償減資の場合
無償減資の場合は株主資本の内訳の構成変化のみであり、株主に対する払い戻しはありません。したがって、減資によって欠損をてん補する場合を含め、法人税法上、新たな課税関係は生じません。
・有償減資の場合
減資によって生じたその他資本剰余金を株主に配分する場合、形式的には出資の払い戻しになりますが、払い戻し金額のうち実質的に配当とみなされる部分について受け取った株主に対して配当課税が生じます(みなし配当課税)。その場合、会社には配当に係る源泉所得税の徴収義務が生じます。