令和二年度 確定申告の留意事項

1 事業所得や不動産所得などがある人

令和2年分の事業所得などの各種の所得金額の合計額から、雑損控除などの所得控除の合計額を差し引き、その残額を基にして算出した税額が、配当控除額や年末調整の際に控除を受けた住宅借入金等特別控除額の合計額を超える人は確定申告が必要です。

2 土地や建物などを譲渡した人

令和2年中に土地や借地権、建物などを売って所得を得た人は、それらの所得(分離課税の譲渡所得)について、事業所得などとは分離して税額を計算します。
 この場合には、申告書B第一表及び第二表のほかに第三表(分離課税用)を用い、事業所得などその他の所得も併せて、確定申告をします。
 土地や建物を売った年の1月1日現在で、その土地や建物の所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得に、5年以下なら短期譲渡所得になり、それぞれ別の方法で税額を計算します。
 自分が住んでいる家と敷地を売った場合や、以前住んでいた家と敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売った場合には、一定の条件の下、税負担が軽減される特例があります。

3 還付申告について

 確定申告をしなくてもよい人でも、源泉徴収税額や予定納税額が納めすぎとなっている人や、給与所得者で医療費控除、寄付金控除、住宅借入金等特別控除、雑損控除などの適用を受けようとする人は還付申告をすることができます。

4 損失申告について

令和2年中の所得金額の合計額が赤字になるなどの理由で、純損失や雑損失の繰越控除、純損失の繰戻しによる還付を受けようとする人は、損失申告をすることができます。

5 青色申告特別控除

青色申告特別控除について、取引を正規の簿記の原則に従って記録している者に係る控除額を55万円(改正前:65万円)に引き下げる一方、取引を正規の簿記の原則に従って記録し、次の①②の要件のいずれかを満たす者に係る控除額は65万円とされました。
 ①その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、法律に定めるところにより、「電磁的記録の備付け及び保存」等を行っていること
 ②その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、その提出期限までにe-Taxを使用して行うこと

青色控除額基礎控除額合計    改正前の要件
65万円38万円103万円(1)正規の簿記の原則で記帳
(2)貸借対照表と損益計算書を添付
(3)期限内申告
改正前
青色控除額基礎控除額合計要件
65万円48万円113万円改正前の要件

e-Taxによる電子申告
又は電子帳簿保存
55万円48万円103万円改正前の要件
改正後

6 基礎控除

基礎控除については、控除額が一律10万円引き上げられるとともに、合計所得金額が2400万円を超える個人についてはその合計所得金額に応じて控除額が逓減し、合計所得金額が2500万円を超える個人については控除の適用はできないこととされました。

<基礎控除の改正>
改正前の基礎控除額:38万円(所得制限なし)

合計所得金額基礎控除額
2,400万円以下48万円
2,400万円超~2,450万円以下32万円
2,450万円超~2,500万円以下16万円
改正後

7 給与所得控除

給与所得控除額は一律10万円引き下げられ、その上限額が195万円(改正前:220万円)とされるとともに、上限額が適用される給与等の収入金額は850万円(改正前:1000万円)となりました。

8 公的年金等控除

公的年金等控除は、一律10万円(又は公的年金に係る雑所得以外の所得にかかる合計所得金額に応じて20万円あるいは30万円)引き下げられることとされ、公的年金等の収入合計が1000万円を超える場合の控除額について上限を設けることとされました。

9 所得金額調整控除

所得金額調整控除が次のとおり創設されました。
 ①その年の給与等の収入金額が850万円を超える居住者で、本人が特別障害者に該当するもの又は年齢23歳未満の扶養親族を有するもの若しくは特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有するものの総所得金額を計算する場合には、給与等の収入金額から850万円(1000万円超の場合は1000万円)を控除した残額の10%相当額を、給与所得の金額から控除する。
 ②その年の給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等に係る雑所得の金額がある居住者で、その合計額が10万円を超えるものの総所得金額を計算する場合には、給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等に係る雑所得の金額(それぞれ10万円が限度)の合計額から10万円を控除した残額を、給与所得の金額から控除する

10 各種所得控除等を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等の改正

同一生計配偶者、扶養親族、源泉控除対象配偶者、配偶者特別控除の対象となる配偶者及び勤労学生の合計所得金額要件が、それぞれ10万円引き上げられました。

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