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令和7年度税制改正(法人税) 7防衛特別法人税の創設

 7 防衛特別法人税の創設 

防衛力強化のための安定的な財源確保を目的として、法人税に対する新たな付加税として防衛特別法人税」が創設されます。

納税義務者
 各事業年度の所得に対する法人税を課される法人が納税義務者となり、防衛特別法人税確定申告書の提出が必要となります。
(注)防衛特別法人税額が0であっても申告は必要です。

課税の範囲
 法人の各課税事業年度の基準法人税額について、当分の間、課されます。

税額の計算
  防衛特別法人税額=(基準法人税額-基礎控除額500万円)✕税率4%

 基準法人税額:所得税額控除や外国税額控除などを適用しないで計算した各事業年度の所得に対する法人税の額(附帯税を除きます。)

 基礎控除額:500万円(基礎控除の存在により、中小法人の場合は課税所得がおよそ2,440万円を超えたあたりから税額が発生することとなります。)

 

 

国税庁HPより

適用開始時期
 令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

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令和7年度税制改正(法人税) 6新リース会計基準を踏まえたリース取引に関する整備

 6 新リース会計基準を踏まえたリース取引に関する整備 

新リース会計基準では、オペレーティング・リース取引についても、「リース資産」及び「リース負債」が計上されることとなりますが、法人税法上は従来どおり「賃貸借処理」によること(従来のリース会計基準では「賃貸借処理」でした。)から、申告調整が必要となります。

また、リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度の特例(延払基準の適用)は廃止されました。

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令和7年度税制改正(法人税) 5高度な資源循環投資促進税制の創設 

 5 高度な資源循環投資促進税制の創設 

再資源化事業等の高度化を目的とした設備投資に対し、法人税の特別償却を通じて支援するものです。この制度は、脱炭素社会の実現に向けて資源循環を一層促進するために創設されました。

制度の概要

青色申告法人で再資源化事業等高度化法の高度再資源化事業計画又は高度分離・回収事業計画の認定を受けた者が、再資源化事業等高度化設備の取得等をして、その法人の高度再資源化事業又は高度分離・回収事業の用に供した場合には、その取得価額の35%の特別償却が認められます。

なお、本税制は取得価額が機械装置2,000万円以上、器具備品200万円以上の再資源化事業等高度化設備の取得が対象となります。

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令和7年度税制改正(法人税) 4地域未来投資促進税制の拡充及び延長

 4 地域未来投資促進税制の拡充及び延長 

地域未来投資促進税制(地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)について、その適用期限が3年延長されるとともに次のような改正がなされました。

上乗せ類型の拡充

創出される付加価値額が1億円以上、かつ、自治体が指定する地域の経済発展・成長に特に資する分野に該当する事業であって、設備投資額が10億円以上である設備の取得については特別償却50%又は税額控除5%が適用されることとなりました。

制度の概要

地域未来投資促進税制では、地域経済牽引事業計画に従って、特定の地域で青色申告法人が、建物・機械等の設備投資を行う場合に、
法人税等の特別償却(取得価額の最大50%)又は税額控除(取得価額の最大6%)を受けることができます。本税制措置を受けるためには
【STEP1】都道府県知事による地域経済牽引事業計画の承認(申請先⇒都道府県)を受けた上で、
【STEP2】国(主務大臣)による課税特例の確認(申請先⇒地方経済産業局)を受ける必要があります。

[税制支援 (METI/経済産業省)より]

適用期限:2027年度末(2028年3月31日)まで

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令和7年度税制改正(法人税) 3中小企業経営強化税制の拡充及び延長

 3 中小企業経営強化税制の拡充及び延長 

中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)について、その適用期限が2年延長されるとともに次のような改正がなされました。

収益力強化設備(B類型)の拡充措置(建物等が対象資産に追加)

売上100億円超を目指す投資計画が経営規模拡大要件※を満たすものである場合に、
その計画に基づいて行う設備投資について、対象資産に取得価額1,000万円以上の建物(あわせて取得するその附属設備を含みます。)が追加され、その年度末の給与増加割合が
2.5%以上である場合には特別償却15%又は税額控除1%が適用され、
5%以上である場合には特別償却25%又は税額控除2%が適用されます
(給与増加割合が2.5%未満の場合は適用されません)。

※経営規模拡大要件
 ・売上高100億円超を目指すこと
 ・売上高が年10%以上成長すること
 ・一定割合の賃上げを行うこと
 ・認定日から2年以内の設備投資額が、1億円と売上高の5%とのいずれか高い金額以上であること
 ・生産性の向上に資する設備の導入に伴う建物の新増設を含む計画であること
 ・上記のほか、売上高100億円超を目指すために必要とされる要件を満たすこと

 

制度の概要

中小企業経営強化税制は、青色申告書を提出する中小企業者等が、中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定に基づき、新品の特定経営力向上設備等の取得又は製作もしくは建設をし、国内の指定事業の用に供した場合に、即時償却又は取得価額の10%の税額控除(資本金の額等が3,000万円超の法人等は7%)を認める制度です。

本制度の適用を受けるためには、経営力向上計画の認定を受け、以下の類型の特定経営力向上設備等を導入する必要があります。

A類型:生産性向上設備 B類型:収益力強化設備  D類型:経営資源集約化設備

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令和7年度税制改正(法人税) 2中小企業投資促進税制の見直し及び延長 

 2⃣ 中小企業投資促進税制の見直し及び延長 

中小企業投資促進税制(中小企業者等が特定機械装置等を取得した場合の特別償却又は税額控除)について、その適用期限が2年延長されるとともに次のような改正がなされました。

中小企業投資促進税制の概要
 青色申告書を提出する中小企業者等が、令和7年3月31日(改正前:令和5年3月31日)までに
一定の要件を満たす新品の特定機械装置等※1の取得又は製作をし、
国内の指定事業※2の用に供した場合に、
 ・取得価額の30%の特別償却 又は
 ・取得価額の7%の税額控除(資本金3,000万円以下の法人等に限る。また、中小企業経営強化税制との合計で調整前法人税額の20%を上限とする)
を認める制度です。

※1 特定機械装置等:減価償却資産のうち、次に掲げるもの (見直し点)
①1つの取得価額が160万円以上の機械装置(コインランドリー業の用に供する資産でその管理を他者に委託するものを除く。)
②1つの取得価額が120万円以上の工具(測定工具又は検査工具)
③1つの取得価額が70万円以上のソフトウエア
④車両総重量3.5t以上の貨物自動車
⑤内航海運業の用に供される船舶(総トン数500トン以上の船舶は、国土交通大臣に届出などが必要)
   [国税庁K.pdfより一部引用]

※2 指定事業:
 政令で定める事業は、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業その他財務省令で定める事業。
 政令で定める法人は、内航海運業法第二条第二項に規定する内航運送の用に供される船舶の貸渡しをする事業を営む法人とする。
   [租税特別措置法施行令27条の6(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)より一部引用]

 

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令和7年度税制改正(法人税)1軽減税率の見直し及び延長

 1⃣ 中小企業等の法人税 軽減税率の特例の見直し及び延長 

 中小企業者等(資本金1億円以下等の法人)の年800万円以下の所得金額については軽減税率が適用されていますが、この軽減税率の適用について、適用期限が2年延長されるとともに、極めて所得が大きい中小企業者等については次の見直し(増税)が行われます。

 所得金額が年10億円を超える事業年度について、所得金額のうち年800万円以下の金額に適用される税率が17%(改正前:15%)に引き上げられます。

 中小企業者等に適用される法人税率 (通算法人※を除く)

区分

改正前

改正後 

年800万円超の所得金額

 

23.2%

年800万円以下の所得金額

所得金額が年10億円超の事業年度

15.0%

17.0%

所得金額が年10億円以下の事業年度

15.0%

 

例:所得金額が年11億円の普通法人の法人税 (+16万円)
  改正前 {(1,100,000,000-8,000,000)×23.2%}+(8,000,000×15.0%)=254,544,000
  改正後 {(1,100,000,000-8,000,000)×23.2%}+(8,000,000×17.0%)=254,704,000 

※通算法人:企業グループ内の各法人が個別に法人税を計算・申告し、損益を通算できる制度です。
以前の「連結納税制度」では、親会社がグループ全体の法人税を一括して申告していましたが、グループ通算制度(2022年4月導入)では各法人が独立して申告を行います。これにより、子会社での修正があった場合でも、グループ全体での再計算が不要となり、親会社の負担が軽減されます。

適用開始時期

令和7年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

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令和6年度税制改正(消費税関係) 4.インボイス発行事業者以外からの課税仕入れに係る税額控除の経過措置の制限

改正の概要

 免税事業者や消費者など、適格請求書発行事業者以外の者(以下「免税事業者等」といいます)から行う仕入れであっても、令和5年 10 月 1 日から令和 11 年9月 30 日までの間に行うもので、一定の帳簿等を保存している場合には、仕入税額相当額の一定割合(80%・50%)を仕入税額とみなして控除できる経過措置(以下「経過措置(80%控除・50%控除)」といいます)が設けられています。


今般の改正により、一の免税事業者等から行う経過措置(80%控除・50%控除)の対象となる課税仕入れの合計額(税込金額)がその年又は事業年度で 10 億円を超える場合には、その超えた部分の課税仕入れについて、経過措置(80%控除・50%控除)の適用を受けることができないこととされました。

▶令和6年10月1日以後に開始する課税期間から適用
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令和6年度税制改正(消費税関係) 3.外国人旅行者向け免税制度の見直し

改正の概要
輸出物品販売場(いわゆる免税店)で消費税が免除された物品(免税購入品)であることを知りなが
ら、当該物品を仕入れた場合、当該課税仕入れに係る消費税額について、仕入税額控除の適用を受けることができないこととされました。
▶令和6年4月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れについて適用
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令和6年度税制改正(消費税関係) 2.高額特定資産を取得した場合の事業者免税点制度及び簡易課税制度の見直し

改正の概要
高額特定資産を取得した場合の事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を制限する措置の対象は、一の取引単位につき支払対価の額が税抜1,000万円以上の資産とされていますが、これに、その課税期間において取得した金又は白金の地金等の額の合計額が200万円以上である場合が加えられました。
▶令和6年4月1日以後に国内において事業者が行う金又は白金の地金等の課税仕入れ及び保税地域から引き取られる金又は白金の地金等について適用
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令和6年度税制改正(消費税関係) 1.国外事業者に係る消費税の課税の適正化

 

改正の概要
・国外事業者に代わり特定プラットフォーム事業者に消費税の納税義務を課す制度が導入されるほか、国外事業者により行われる事業者免税点制度や簡易課税制度を利用した相税回避を防止するための見直しが行われました。

(1)プラットフォーム課税の導入(消法15の2)

国外事業者がデジタルプラットフォームを介して国内向けに行う消費者向けオンラインゲーム等モバイルアプリの配備などの電気通信利用役務の提供のうち、一定規模を超えるプラットフォーム事業者を介して対価を収受するものについては、そのプラットフォーム事業者が行ったものとみなして消費税の納税義務を課す制度が導入されました。

①国外事業者がデジタルプラットフォームを介して行う電気通利用役務の提供(事業者向けのものを除きます。)のうち、下記②の指定を受けた特定プラットフォーム事業者を介してその対価を収受するものについては、その特定プラットフォーム事業者が行ったものとみなされます。

②国税庁長官は、プラットフォーム事業者のその課税期間において上記①の対象となる電気通利用役務の提供に係る対価の額の合計額が50億円を超える場合には、そのプラットフォーム事業者を特定プラットフォーム事業者として指定します。なお、この要件に該当する者は、その課税期間に係る確定申告書の提出期限までに、その旨を国税庁長官に届け出なければなりません。

▶令和7年4月1日以後に行われる電気通信利用役務の提供について適用

(2)事業者免税点制度の特例の見直し

国外事業者により、事業者免税点制度の特例や簡易課税制度を利用した租税回避が行われている状況に対応するため、以下の見直しが行われました。

改正前の特例 弊害 改正後
①特定期間(前年度上半期)における国内の課税売上高が1,000万円以下又は居住者への給与等支払額の合計額が1,000万円以下の場合、免税事業者となります。 非居住者への給与等支払額が1,000万円超の場合でも、納税義務が免除される。

国外事業者については、特定期間における給与等支払額による判定を認めないこととされました。

 
②基準期間がなく期首資本金1,000万円以上の法人は「新設法人」とされ、特例により納税義務を免除されません。 国外も合わせると基準期間を有しているため「新設法人」に該当せず、日本進出時には基準期間の日本での課税売上高が1,000万円以下のため左記特例が適用されず免税事業者となってしまう。 国外で基準期間のある外国法人が日本で事業を開始した場合には、基準期間がないものとみなして、「新設法人の特例」及び「特定新規設立法人の特例」を適用することとされました。
③基準期間がなく資本金1,000万円未満でも、国内課税売上高5億円超などの法人が設立した法人については、「特定新規設立法人」として納税義務は免除されません。 国外での大企業が日本で資本金1,000万円未満の法人を設立した場合にも、免税事業者となる。

国外分を含む収入金額が50億円超である事業者が支配する法人を設立した場合も「特定新規設立法人の特例」を適用することとされました。

▶令和6年10月1日以後に開始する事業年度から適用

(3)簡易課税制度等の見直し(消法37、改法附則51の2)

恒久的施設を有しない国外事業者について、国内における課税仕入等が一般的には想定されず、簡易課税制度及び適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)を適用できないこととされました。

▶令和6年10月1日以後に開始する課税期間について適用

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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令和6年度税制改正(所得税関係) 2.子育て世帯等に対する住宅ローン控除・住宅リフォーム税制の拡充

 

改 正 の 概 要

・子育て支援に関する政策税制として、住宅ローン控除及び既存住宅のリフォームに係る特例措置が拡充されました。
・また、既存住宅のリフォームに係る特例措置について、適用対象者の合計所得金額要件の見直し等が講じられた上で2年延長されました。

(1)住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の見直し
①子育て特例対象個人(年齢40歳未満であって配偶者を有する者、年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者又は年齢19歳未満の扶養親族を有する者)が、認定住宅等の新築若しくは認定住宅等で建築後使用されたことのないものの取得又は買取再販認定住宅等の取得をして、令和6年1月1日から令和6年12月31日までの間に居住の用に供した場合の住宅借入金等の年末残高の限度額(借入限度額)を次のとおりとして住宅ローン控除の適用ができることとされました。

住宅の区分 借入限度額
認定住宅 5,000万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円

②認定住宅・ZEH 水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅の新築又はこれらの住宅等で建築後使用されたことのないものの取得に係る床面積要件の緩和措置(合計所得金額1,000万円以下の者について令和5年12月31日以前の建築確認分の住宅の床面積要件が50m”から40mに緩和されている措置)について、令和6年12月31日以前に建築確認を受けた家屋についても適用できることとされました。

 

(2) 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除の見直し

①適用期限を令和7年12月31日までとした上で、子育て特例対象個人が、その者の所有する居住用の家屋について一定の子育て対応改修工事をして、その居住用の家屋を令和6年4月1日から令和6年12月31日までの間に居住の用に供した場合を適用対象に追加し、その子育て対応改修工事に係る標準的な工事費用相当額(250万円を限度)の10%に相当する金額がその年分の所得税の額から控除されることとされました。

②また、適用対象者の合計所得金額要件が2,000万円以下(改正前:3,000万円以下)に引き下げられました。

▶特定の改修工事等をして、令和6年1月1日以後に自己の居住の用に供する場合について適用

③さらに、工事の対象設備となるエアコンディショナーの省エネルギー基準達成率が107%以上(改正前:114%以上)に引き下げられました。

(注)「一定の子育て対応改修工事」とは、
(イ)住宅内における子どもの事故を防止するための工事、
(口)対面式キッチンへの交換工事、
(ハ)開口部の防犯性を高める工事、
(ニ)収納設備を増設する工事、
(ホ)開口部・界壁・床の防音性を高める工事、
(ヘ)間取り変更工事(一定のものに限る。)

であって、その工事に係る標準的な工事費用相当額(補助金等の交付がある場合には、その補助金等の額を控除した後の金額)が50万円を超えること等一定の要件を満たすものをいいます。

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令和6年度税制改正(所得税関係) 1.所得税・個人住民税の定額減税

1.所得税・個人住民税の定額減税

改 正 の 概 要

・デフレに後戻りさせないための措置の一環として、
 令和6年分の所得税・令和6年度分の個人住民税の定額減税が実施されます。

・具体的には、納税者(高額所得者は対象外)及び配信者を含めた扶養家族1人につき、
 令和6年分の所得税から3万円、
 令和6年度分の個人住民税の所得割から1万円の特別控除を行い、
 令和6年6月以降の源泉徴収・特別徴収等から実施されます。

  所得税 個人住民税
対象者 令和6年分の所得税に係る合計所得金額が、 令和6年度分の個人住民税に係る合計所得金額が、
1,805万円(給与収入のみの場合、給与収入2,000万円)以下である場合に限られます。
特別控除額

特別控除額は①②の合計額
(その合計額がその者の所得税額を超える場合には、所得税額が限度。)
①納税者本人  3万円
②同一生計配偶者又は扶養親族(居住者に限る)
 1人につき3万円

 

特別控除額は①②の合計額
(その合計額がその者の所得割の額を超える場合には、所得割の額が限度。)
①納税者本人 1万円
②控除対象配偶者又は扶養親族(国外居住者を除く)
 1人につき1万円

(注)控除対象配偶者を除く同一生計配偶者(国外居住者を除く。)については、令和7年度分の所得割の額から、1万円を控除。
給与所得者に係る特別控除


①令和6年6月1日以後最初に支払を受ける給与等(賞与を含むものとし、給与所得者の扶養控除等申告書の提出の際に経由した給与等の支払者が支払うものに限る。)につき源泉徴収をされるべき所得税の額から特別控除額(特別控除前の源泉徴収税額が限度。)を控除。

②①により控除しきれない部分の金額は、以後令和6年中に支払われる給与等
(令和6年の最後に支払われるものを除く。)に係る控除前の源泉徴収税額から、順次控除。

③令和6年分の年末調整の際に、年税額から特別控除の額を控除。


①特別徴収義務者は、令和6年6月に給与の支払をする際は特別徴収を行わず、特別控除の額を控除した後の個人住民税の額の11分の1の額を令和6年7月から令和7年5月まで、それぞれの給与の支払をする際毎月徴収。

②地方公共団体は、令和6年度分の給与所得に係る個人住民税の特別徴収税額
通知(納税義務者用)に控除した額等を記載。

③特別徴収義務者は、令和6年分の給与支払報告書の摘要の欄に所得税額から控除した額等を記載。

 

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令和6年度税制改正(法人税関係) 6.中小法人等以外の青色申告法人の欠損金の繰戻し付の不適用措置の延長

改正の概要

・中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付制度の不適用措法66の12措置について、その適用期限が2年延長されました。

 ▶ 今和6年4月1日から今和8年3月31日までに開始する事業年度について適用

 
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令和6年度税制改正(法人税関係) 5.中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例の延長

改正の概要

・中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、適用期限が2年延長されました(所得税も同様)。

 

  • なお、この特例の対象は、中小企業者等(資本金の額が1億円以下の法人及び農業協同組合等)ですが、農業協同組合等には資本金の額等の基準が設けられていませんでした。
  • 本年度改正により、特例対象法人から e-Taxにより法人税の確定申告をしなければならない法人(いわゆる電子申告が義務化された大法人)のうち常時使用従業員数が300人を超えるものが除外されました。

 ▶ 令和6年4月1日から令和8年3月31日までに開始する事業年度について適用

措令67の5
措令39の28

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令和6年度税制改正(法人税関係) 4.中小企業倒産防止共済を利用した節税策への対応

改正の概要

•中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、取引先の倒産に伴う連鎖倒産等防止のための制度で、掛金は全額損金算入できます。利益の大きい年度に節税のために加入し、損失等の年度に解約、その後、再加入するという節税策への対応のため、下記のとおり見直されました。

・特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例における経営セーフティ共済に係る措置について、共済契約の解除があった後再締結した場合には、その解除の日から同日以後2年を経過する日までの間に支出する掛金については、この特例の適用ができないこととされました(所得税も同様)。

 ▶ 令和6年10月1日以後の共済契約の解除について適用

措法66の11

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令和6年度税制改正(法人税関係) 3.交際費等の損金不算入制度の見直し


改正の概要

交際費等の損金不算入制度について、決の措置が講じられた上で、その適用期限が3年延長されました。

①損金不算入となる交際費等の範囲から除外される一定の飲食費に係る金額基準が1人当たり1万円以下(改正前:5,000円以下)に引き上げられました。

 (注) 一人当たりの飲食費が1万円を超える場合には、1万円を超える部分の金額だけではなく、その飲食費の全額が交際費等から除外されない飲食費となります。

 ▶ 令和6年4月1日以後に支出する飲食費について適用

②接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人に係る損金算入の特例の適用期限が3年延長されました。

 ▶ 令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度について適用

措法61の4

国税庁HPより

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令和6年度税制改正(法人税関係) 2.試験研究を行った場合の税額控除制度の見直し

改正の概要

① 令和7年4月1日以後に開始する事業年度において、研究開発税制の対象となる試験研究費の額から、内国法人の国外事業所等を通じて行う事業に係る試験研究費の額が除外されます。

②令和8年4月1日以後に開始する事業年度で増減試験研究費割合が零に満たない事業年度につき、一般試験研究費の額に係る税額控除制度の税額控除割合について次のとおり見直されるとともに、その下限(現行: 1%)が撤廃されます。

参考法令等 措法42の4

事業年度

税額控除割合

令8.4.1~令11.3.31 開始

8.5%+増減試験研究費割合 ✕ 8.5/30

令11.4.1~13.3.31に開始

8.5%+増減試験研究費割合 ✕ 8.5/27.5

令13.4.1以後に開始

8.5%+増減試験研究費割合 ✕ 8.5/25

 

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令和6年度税制改正(法人税関係) 1.賃上げ促進税制

賃上げ促進税制の強化

改正の概要
●給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度は、全ての青色申告法人に適用される賃上げ促進税制と青色申告法人の中小企業者等に適用される賃上げ促進税制の2制度で構成されていましたが、中堅企業に適用される制度が新設されて3制度になりました。
●また、中小企業向けの措置に対しては、5年間の繰越税額控除制度が創設された上で、さらに人的投資に対する要件が見直されました。
▶ 令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度について適用

 

青色申告法人1⃣2⃣3⃣ に適用される賃上げ促進税制

1⃣ 全ての青色申告法人に適用される賃上げ促進税制
 ①原則の税額控除率が改正前15%から10%に引き下げられました。
 ②この措置の適用を受けるために「給与等の支給額の引上げの方針、下請事業者その他の取引先との適切な関係の構築の方針等の一定の事項(マルチステークホルダー方針)」(※1)を公表しなければならない者に、常時使用従業員2,000人超の法人(※2)が加えられました。
 ※1 取引先に消費税の免税事業者が含まれることを明確にしなければなりません
 ※2 現行:資本金10億円以上かつ常時使用従業員数1,000人以上の法人

継続雇用者給与等支給額の対前年増加割合 雇用者給与等支給額の対前年増加額に乗ずる税率控除率
3%以上   10%             
4%以上 15%( 5%上乗せ)
5%以上 20%(10%上乗せ)
7%以上 25%(15%上乗せ)

教育訓練費の対前年増加割合が10%以上であり、かつ、教育訓練費の額が
雇用者給与等支給額の0.05%以上である場合

さらに5%上乗せ
プラチナくるみん認定 又は
プラチナえるぼし認定を受けている場合
さらに5%上乗せ
最大控除率 35%(25%+5%+5%)
控除上限額 法人税額の20%

(注)税額控除限度超過額の繰越は出来ません。

2⃣ 青色申告法人の中堅企業に適用される賃上げ促進税制

①中堅企業とは、青色申告書を提出する法人で常時使用従業員数が2,000人以下であるもの(※)をいいます。(※その法人及びその法人との間にその法人による支配関係がある法人の常時使用従業員数の合計数が1万人を超えるものを除きます)
②資本金10億円以上かつ常時使用従業員数1,000人以上の法人がこの措置の適用を受けるためには「マルチステークホルダー方針」を公表しなければなりません。

継続雇用者給与等支給額の対前年増加割合 雇用者給与等支給額の対前年増加額に乗ずる税率控除率
3%以上   10%              
4%以上 25%(15%上乗せ)

教育訓練費の対前年増加割合が10%以上であり、かつ、教育訓練費の額が
雇用者給与等支給額の0.05%以上である場合

さらに5%上乗せ
プラチナくるみん認定 もしくは
プラチナえるぼし認定 又は
えるぼし認定(3段階目)を受けている場合
さらに5%上乗せ
最大控除率 35%(25%+5%+5%)
控除上限額 法人税額の20%

(注)税額控除限度超過額の繰越は出来ません。

 

3⃣ 青色申告法人の中小企業者等(注1)に適用される賃上げ促進税制

雇用者給与等支給額の対前年増加割合 雇用者給与等支給額の対前年増加額に乗ずる税率控除率
1.5%以上   15%              
2.5%以上 30%(15%上乗せ)

教育訓練費の対前年増加割合が5%以上であり、かつ、教育訓練費の額が
雇用者給与等支給額の0.05%以上である場合

さらに10%上乗せ
プラチナくるみん認定 もしくは
プラチナえるぼし認定 を受けている場合
又は、
くるみん認定 もしくは
えるぼし認定(2段階目以上)を受けている場合
さらに5%上乗せ
最大控除率 45%(30%+10%+5%)
控除上限額 法人税額の20%

(注1)中小企業者等とは、資本金1億円以下の法人(資本金5億円以上の法人等の完全支配子会社は除きます。)又は常時使用従業員数が1,000人以下の法人及び農業協同組合等をいい、発行済株式総数等の1/2以上が同一の大規模法人の所有に属する法人等を除きます。

(注2)控除限度超過額は5年間の繰越しができます。(繰越税額控除をする事業年度に雇用者給与等支給額が対前年で増加している場合でないと適応できません。)。
▶令6.4.1以後開始事業年度において生じる控除しきれない金額について適用

※認定制度の概要
 〇くるみん認定とは、次世代育成支援対策推進法に基づき一定の基準を満たした企業が「子育てサポート企業」として厚生労働大臣から認定を受けることができる制度です。
 なお、育児休業等取得率での認定基準は次の通りです。

  男性の育休取得率

男性の育休取得率+企業独自の育児目的休暇取得率

女性の育休取得率
トライくるみん 7%以上 15%以上 75%以上
くるみん 10%以上 20%以上 75%以上
プラチナくるみん 30%以上 50%以上 75%以上

「くるみん」の名前の由来は、赤ちゃんが大事に包まれる「おくるみ」と「職場ぐるみ・会社ぐるみ」で仕事と子育ての両立支援に取り組む、という意味が込められています。

 〇えるぼし認定とは、2016年に施行された「女性活躍推進法」に基づいて誕生した制度です。
  「女性活躍推進法」は女性が希望する形で個性や能力を活かして働くことができる社会を目指すことを目的として制定され、
  ①「採用」
  ②「継続就業」
  ③「労働時間等の働き方」
  ④「管理職比率」
  ⑤「多様なキャリアコース」
  の5項目の認定基準を満たした事業主が厚生労働大臣の認定を受けることができる制度です。
 なお、5項目のうち満たした項目数等による「えるぼし」認定基準は次の通りです。

  認定基準
1段階目 1項目又は2項目を満たす
2段階目 3項目又は4項目を満たす
3段階目 5項目を満たす
プラチナえるぼし 5項目を満たし、一定の上乗せ要件を満たす

「えるぼし」という名前の由来には、さまざまな企業や社会の中で活躍し、星のように輝く女性への「エール」と輝く女性が増えていくようにとの願いが込められており、
「L」には、Lady(女性)、Labour(働く、取り組む)、Lead(手本)などのさまざまな意味も込められています。

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令和5年度納税環境整備に関する改正 5⃣無申告に係る加算税措置の整備

1.改正の内容

 社会通念に照らして申告義務を認識していなかったとは言い難い高額無申告に対して、増差税額が300万円超の場合の無申告加算税の課税割合を30%(改正前20%)に引き上げています。
なお、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告等をする、調査通知後・更正等予知前に申告した場合には5%軽減され、25%となります。

<改正のイメージ>財務省資料より

また、一定期間繰り返し行われる悪質な無申告行為に対しては、前年度及び前々年度の国税について、無申告加算税又は無申告重加算税を課される者が行う更なる無申告行為に対して、無申告加算税又は無申告重加算税を10%加重する措置が講じられます。

 ただし、過去5年以内に無申告加算税等が課された者が再び「無申告又は仮装・隠ぺい」に基づく修正中告書の提出等を行った場合に課される無申告加算税等の加重措置のいずれかの適用となります。

2.適用期日

令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。

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令和5年度納税環境整備に関する改正 4⃣スマホ用電子証明書を利用したe-Tax の利便性の向上

1.改正の内容

 令和5年5月にはマイナンバーカード機能のスマホ搭載により、スマホ一つで様々な手・ビスが利用可能になりました。

 e-Taxにおけるスマホからのマイナンバーカード方式の利用については、申請等を行う際に毎回マイナンバーカードの読み取りが必要でしたが、マイナンバーカード機能が搭載されたスマホからの利用が可能になり、IDやパスワードの入力が不要となるなどの措置が講じられます。

2.適用期日

 令和7年1月1日以後に行う申請等または同日以後に行う国税の納付について適用されます。

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令和5年度納税環境整備に関する改正 3⃣ダイレクト納付の利便性向上

1.制度の概要

 ダイレクト納付は、e-Taxにより電子申告等をした後、納税者自身名義の預貯金口座から、即時又は指定した期日に、口座引落しにより国税を電子納付する手続です。

 利用にあたっては、事前にe-Taxの利用開始手続を行った上、税務署または利用する金融機関に「ダイレクト納付利用届出書」を提出するか、e-Taxで同届出書をオンライン提出する必要があります。

2.改正の内容

ダイレクト納付を利用できるのは、e-Taxの利用可能時間内と、ダイレクト納付が利用可能な金融機関のオンラインサービス提供時間内です。

 e-Taxの利用可能時間内であっても、ダイレクト納付で利用する金融機関によってはオンラインサービス提供時間外となってしまう時間もあり、ダイレクト納付の即時納付が行えない場合がありました。
こうした場合に、たとえ法定納期限に手続を行ったとしても、ダイレクト納付による納付が法定納期限の翌日に取り扱われ、延滞税が発生していました。改正により、期限内申告等と併せてダイレクト納付の手続が法定納期限に行われた場合(1億円以下の税額に限る)法定納期限に納付があったものとみなされるようになり、延滞税が発生しないことになります。

3.適用期日

令和6年4月1日以後に行うダイレクト納付の手続について適用されます

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令和5年度納税環境整備に関する改正 2⃣源泉徴収票の提出方法の一体化

1.制度の概要

 「給与所得の源泉徴収票」は、給与等を支払ったすべての者について作成し交付することとされていますが、税務署に提出するものについては一定の者に限られています。

 一方で、市区町村へ提出する「給与支払報告書」は税務署への「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲とは異なり、すべての受給者の給与支払報告書を、受給者のその年の翌年の1月1日現在の住所地の市区町村へ、その年の翌年の1月31日までに提出しなければなりません。

2.改正の内容

 源泉徴収票の提出方法について、次の見直しが行われました。

 まず、給与等の支払いをする者が、市区町村へ「給与支払報告書」を提出した場合には、その報告書に記載された給与等について、税務署長に「給与所得の源泉徴収票」を提出したものとみなされることとなります。

 この見直しに伴い、給与所得の源泉徴収票の税務署長への提出が不要とされる範囲が、市区町村への給与支払報告書と同様となりました。具体的には、年の途中で退職した者に対する年中の給与等の支払金額が30万円以下の場合となります。

 また、公的年金等の源泉徴収票の提出方法についても同様の改正が行われています。

3.適用期日

 令和9年1月1日以後に提出すべき給与所得及び公的年金等の源泉徴収票について適用されます。

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令和5年度納税環境整備に関する改正 1⃣電子帳簿等保存制度の見直し

Ⅰ 優良電子帳簿の範囲の見直し 

1.改正の内容

 税務関係帳簿書類の電子帳簿保存では、事後検証可能性の高い「優良電子帳簿」の要件を満たし保存等がされている場合には、その帳簿記載事項に関して申告漏れがあったときに課される過少申告加算税が軽減される措置が設けられています。

 この軽減措置の対象帳簿(所得税・法人税)は「仕訳帳、総勘定元帳その他必要な帳簿(全て)」とされていますが、改正により対象帳簿の範囲が合理化かつ明確化され、「その他必要な帳簿」は以下の帳簿に限ることとされました。なお、現金出納帳や当座預金出納帳などは対象外です。

<対象帳簿の具体例>

  • 売上帳、仕入帳、経費帳(賃金台帳を除きます)、売掛帳、買掛帳
    (注) 所得税の場合は賃金台帳も対象
  • 受取手形記入帳、支払手形記入帳、貸付帳、借入帳、有価証券受払い簿
  • 固定資産台帳、繰延資産台帳 等

2.適用期日

 令和6年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用されます。

 

Ⅱ 電子取引データ保存の見直し 

1.改正の内容

 (1)新たな猶予措置の創設

  電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度では、原則、「改ざん防止」「検索機能の確保」「見読可能装置の備付け」等の保存要件に従って、電子取引データを保存しなければなりません。

  この保存要件を満たすシステム対応を相当の理由により行うことができなかった事業者について、今回の改正では、令和6年1月1日より新たな猶予措置が設けられることとなりました。

 猶予措置が適用されるのは、電子取引データの各保存要件を満たすシステム対応を行うことができなかったことに「相当の理由がある」と納税地等の税務署長が認める場合で、適用にあたっての事前手続はいりません。
 税務当局への従前の出力書面の提示・提出に加えて、電子取引データのダウンロードの求めに応じることができるようにしておけば、検索機能の確保の要件等を不要として、電子取引データの保存が可能となります。

 (2)保存要件の緩和

  電子取引データの保存義務者が、国税職員の質問検査権に基づく電子取引データのダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合に検索要件の全てが不要とされる措置は、以下の者が対象となります。

  ①その判定期間における売上高が5,000万円以下(現行1,000万円以下)の事業者
  ②その電子取引データの出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力され、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されるものに限ります)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている事業者
  なお、電子取引データの保存を行う者等に関する情報の確認要件は廃止されます。

2.適用期日

令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電子取引データについて適用されます。

Ⅲ スキャナ保存制度の見直し 

1.改正の内容

 国税関係書類に係るスキャナ保存制度について、次の見直しが行われました。

①入力者情報の確認について、現行は、国税関係書類を入力した者またはその者を直接監督する者に関する情報を確認できるようにしておく必要がありますが、その確認が不要となります。

②国税関係書類をスキャンした際に保存するデータの情報についての保存要件が廃止され、
 解像度200dpi以上、256階調、大きさの情報確認が不要となります。

③スキャンした電子データとこれに関連する国税関係帳等の記録事項との間において、相互にその関性を確認できるようにしておく相互関連性要件については、賃金や物の異動に直結・」連動する契約書や領収書、請求書等の「重要書類」に限定し、見積書や注文書などの「一般書類」は要件を確保する必要がなくなります。

3.適用期日

令和6年1月1日以後に保存が行われる国税関係書類について適用されます。

スキャナ保存制度の要件  (国税庁資料より)

要 件 重要書類 一般書類
入力期間の制限
(書類の受領等後又は業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに入力)
〇  
一定水準以上の解像度(200dpi以上)による読み取り 〇 〇
カラー画像による読み取り(赤・緑・青それぞれ256階調(約1677万色)以上) 〇 ※
タイムスタンプの付与 〇 〇
解像度及び階調情報の保存 〇→不要 〇→不要
大きさ情報の保存 〇→不要  
ヴァージョン管理(訂正又は削除の事実及び内容の確認等) 〇 〇
入力者等情報の確認 〇→不要 〇→不要
スキャン文書と帳簿との相互開連性の保持 〇 〇→不要
見読可能装置(14インチ以上のカラーディスプレイ、4ポイント文字の認識等)の備付け 〇 ※
整然・明瞭出力 〇 〇
電子計算機処理システムの開発関係
書類等の備付け
〇 〇
検索機能の確保 〇 〇

※グレースケールでの保存可
  〇→不要  部分は今改正での変更点

 

 

 

 

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令和5年度改正税法 マンションの相続税評価の見直し

1.相続税の評価方法

 相続税法では、相続等により取得した財産の価額は、国税庁の「財産評価基本通達」(以下、評価通達)において、その財産の取得時における時価によるもの(時価主義)とされています。

 そして、マンション(一室)の相続税評価額(自用の場合)の算出方法は、以下のとおりとされています。

「区分所有建物の価額(①)+ 敷地(敷地権)の価額(②)」

 ① 区分所有建物の価額
   =建物の固定資産税評価額(注1)✕1.0
 ② 敷地(敷地権)の価額
   =敷地全体の価額(注2)✕共有持分(敷地権割合)

 (注1)1棟の建物全体の評価額を専有面積の割合で接分し各戸の評価額を算定
 (注2)路線価方式又は倍率方式で評価

2.マンション節税と国税当局の対応

 相続税の計算は上記の取扱いにより、預金、株式、現金等は時価のままですが、家やマンションの相続税評価額は時価に比べかなり低くなります。

したがって、現金よりもマンションを相続した方が時価 (市場価格)と相続税評価額の開きが大きく節税効果も大きくなります。特にタワーマンションの場合、容積率を上限近くまで活用することなどから市場価格は高額のままで売買される反面、室数が多いため相続税評価額がさらに大幅に下がることがあります。この乖離が大きいことから、行き過ぎた節税対策として問題視されてきました。

 一方で、市場価格と相続税評価額が大きく乖離ているケースでは、相続税申告後に国税当局から、相続税評価額ではなく鑑定価格等による時価で評価し直して課税処分をされ、訴訟に至るケースも発生しています。これは、評価通達に沿って評価すると著しく不適当と認められる場合に限り国税庁長官の指示を受けて評価する、「評価通達6項(この通達の定めにより難い場合の評価)」を適用して行っていますが、昨年4月の最高裁判決では、評価通達によらない評価は合理的な理由がない限り平等原則に反すると指摘があり、マンションの市場価格と相続税評価額の乖離は、予見可能性の観点からも評価方法の見直しにより是正することが急務とされています。

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令和5年度改正税法 優良住宅地造成等のため土地等を譲渡した場合の特例の見直し

1.制度の概要

優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の課税の特例は、優良な住宅地の造成に向けた事業のため地方公共団体などに土地等を譲渡した場合、長期譲渡所得(2,000万円以下の部分)について、税率を以下のように軽減するものです。

  所得税 個人住民税 合計
本則 15% 5% 20%
特例 10% 4% 14%
減税部分 5% 1% 6%
※復興特別所得税は含まず

なお、特例の適用を受ける場合は、特例の適用を受けるための確定申告書に開発業者から受け取った添付書類が必要です。

2.改正の内容

良好な環境を備えた住宅・宅地開発等の事業を促進するため、次の見直しを行った上、その適用期限が延長されました。

(1) 適用対象から特定の民間再開発事業の用に供するための土地等の譲渡が除外されました。

(2) 開発許可を受けて住宅建設の用に供される一団の宅地の造成を行う者に対する土地等の譲渡に係る開発許可について、次の区域内で行われる開発行為に係るものに、限定されました。

  • 市街化区域
  • 市街化調整区域
  • 区域区分に関する都市計画が定められていない都市計画区域(用途地域が定められている区域に限ります。)

(3) 適用期限が令和7年12月31日まで3年延長されました。

3.適用期日

令和5年1月1日以後に行う土地等の譲渡について適用されます。

 

 

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令和5年度 改正税法 マンション長寿命化促進税制の創設

1.制度の概要

 一定の要件を満たすマンションにおいて、令和5年4月1日から令和7年3月31日までの間に長寿命化のための大規模修繕工事(屋根防水工事、床防水工事、外壁塗装等工事)を実施(完了)した場合に、マンションの各区分所有者に課される工事翌年度の固定資産税額が、建物部分の100㎡分まで減額されます。
 減額割合は、6分の1~2分の1の範囲内(参酌基準:3分の1)とされ、各市町村の条例で定められます。
 一定の要件とは、
①築後20年以上が経過している10戸以上のマンション、
②長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施、
③長寿命化工事の実施に必要な積立金の確保などを満たしていること(※)。
 ※地方公共団体の認定を受けた管理計画認定マンションのうち、認定基準に適合させるため修繕積立金の引上げや、地方公共団体の助言・指導を受け、修繕積立金の積立てや額の引上げを行った場合が該当します。

 なお、減額適用を受けるには、マンションの区分所有者が長寿命化に資する大規模修繕工事であることを、マンション管理士等が発行した証明書等を添付して、工事完了後3か月以内に市町村に申告する必要があります。

2.適用時期

令和5年4月1日から令和7年3月31日まで

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令和5年度 改正税法 空き家の発生を抑制するための特例措置の拡充・延長

1.制度の概要

空き家の発生を抑制するための特例措置は、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに相続または遺贈により取得した
被相続人居住人家屋※ または
被相続人居住用家屋の敷地等(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含みます)または
取得後の土地を譲渡した場合には居住用財産を譲渡したとみなし、
家屋または土地の譲渡所得金額から最高3,000万円まで控除できるもので、平成28年度税制改正において創設されました。
 
 ※被相続人居住家屋とは、
相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、
①昭和56年5月31日以前に建築されたこと
②区分所有建物登記がされている建物でないこと
③相続開始直前に被相続人がひとりで住んでいたこと
の3つの要件に該当するものです。

 創設後、平成31年度改正により被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続の開始の直前まで老人ホーム等に入所をしていた場合も適用が認められます。

 適用を受けるためには、相続開始の直前において被相続人が家屋を居住の用に供し、かつその家屋にその被相続人以外に居住をしていた者がいなかったことなどを明らかにする自治体の「被相続人居住用家屋等確認書」が必要です。

2.改正の内容

 利用が予定されていない空き家の数が令和12年度には約470万戸まで増える可能性があると指摘されており、適切な管理が行われていない空き家は防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼすことから、空き家の除去や空き家の発生を抑制するため見直しが行われました。

(1)適用要件の緩和

 これまで、譲渡までに耐震基準に適合するか、被相続人居住用家屋の取壊し等が適用要件となっていましたが、売買契約等に基づき買い主が譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修又は除却の工事を行った場合、工事の実施が譲渡後であっても適用対象とされました。


国土交通省資料より

(2)相続人数による特別控除額の見直し

 相続または遺贈による被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした相続人数が3人以上である場合の特別控除額が2,000万円(改正前3,000万円)とされました。

(3)適用期限の延長

 適用期限が4年間延長され、令和9年12月31日までとされました。

3.適用時期

 令和6年1月1日以後に行う被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等の譲渡について適用されます。

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令和5年度 改正税法 NISA制度の抜本的拡充・恒久化

1.制度の概要

NISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)とは
「Nippon Individual Savings Account」の略称で、英国の個人貯蓄口座(ISA)をモデルにした「日本版ISA」です。
本来は、株式や投資信託など金融商品への投資から得られる配当・分配金や売却益には約20%の税金がかかりますが、NISAは個人の資産運用を後押しするために作られた税制の優遇制度で、購入した株式や投資信託などの売却益や配当金が一定の範囲内で非課税となります。

 令和5年までのNISAには3つの種類があり、どれか1つを選択

①一般NISA

毎年120万円の非課税投資枠が設定され、上場株式・ETF・REITなど株式・投資信託等の配当・譲渡益が非課税対象で、非課税保有期間は5年間。
投資期限は令和10年までとされています。

②つみたてNISA 毎年40万円の非課税枠が設定され、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に投資が可能で、非課税保有期間は20年間。
投資期限は令和24年までとされています。
③ジュニアNISA 未成年者を対象とした少額投資非課税制度で、2親等以内の親族が運用管理者となります。毎年80万円の非課税投資枠が設定され、株式・投資信託等の配当・譲渡益が非課税対象。
投資可能期間は今年で終了します。

2.新NISA  改正の内容(令和6年以降)

(1)「一般NISA→『成長投資枠』」と 「つみたてNISA→『つみたて投資枠』」の併用が可能に
 現行では、上場株式の投資が可能な「一般NISA」と一定の投資信託を対象とする「つみたてNISA」の2種類から、どちらかを選択しなければなりません。
 新NISAでは、一般NISAを「成長投資枠」に、つみたてNISAを「つみたて投資枠」に名称変更するとともに、両投資枠の併用が可能となりました。

(2)非課税保有期間を無期限・恒久的措置に
 若年期から高齢期に至るまで継続的な資産形成を行えるよう非課税保有期間を無期限に、口座開設可能期間も期限を設けない恒久的措置となり、これまでのロールオーバーなどの面倒な手続きがなくなります。

(3)年間投資上限額が最大360万円に
 現行の一般NISAが120万円、つみたてNISAが40万円となっている年間投資上限額について、成長投資枠は2倍の240万円に、つみたて投資枠は3倍の120万円とし、両枠を併用することにより最大で年間360万円までの投資が可能となります。

(4)生涯非課税限度額 最大1,800万円
 新たに「一生涯の非課税限度額」が設けられ、非課税保有限度額が買付金額ベースで合計1,800万円に設定され、このうち成長投資枠は1,200万円までとされています。

(5)現行NISAの対応
 現行NISA及びつみたてNISAについては、今月末で買付が終了となりますが、非課税口座内にある商品については、新しい制度における非課税限度額の枠外で、現行の取扱いが継続されます。

(6)ジュニアNISAの手続きの省略
 ジュニアNISAも今年末で新規買付が終了します。
今年末までにジュニアNISAで投資した商品は、5年間の非課税期間終了後も、一定の手続きを経ることで18歳になるまでは非課税措置を受けられることとなっていますが、利用者利便を考慮してその手続きを省略できることとされました。


3.適用時期

令和6年1月1日から適用されます。

 

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令和5年度 改正税法 地域未来投資促進税制の拡充・延長

⚫ 地域経済がエネルギー価格や原材料費の高騰等の厳しい経済状況に直面する中、引き続き、高い付加価値を生み出す設備投資を促進する観点から、適用期限を2年間延長する。
⚫ 地域の「稼ぐ力」を強化すべく、特に高い付加価値(3億円以上)を創出し、地域内企業との取引や雇用を通じて、より一層地域経済に波及効果を及ぼす事業について上乗せ支援の対象とする。

1.制度の概要

地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額等の特別控除(地域未来投資促進税制)は、地域経済牽引事業計画の承認を受けた事業者が、承認された事業計画に基づいて設備投資を行う場合に減税措置を受けることができる制度です。
 具体的には、地域未来投資促進法に基づき、地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域の事業者の相当の経済的効果を及ぼすと認められるものとして、都道府県知事から地域経済牽引事業計画の承認を受けた上で、地域の成長発展の基盤強化に特に資するものとして、国(主務大臣)が定める基準に適合することの確認を受けることで課税の特例が適用できます。

参考:経済産業省資料よりzeiseikaisei.pdf (meti.go.jp)

2.改正の内容

 今回の改正では、適用期限の延長とともに、特に高い付加価値を創出し地域内企業との取引や雇用を通じて地域経済に波及効果をより一層及ぼす事業を、特別償却率及び税額控除率を引き上げる上乗せ支援の対象としています。
 この上乗せ支援について、
 ①対象事業において創出される付加価値額が3億円以上、かつ、
 ②事業を実施する企業の前年度と前々年度の平均付加価値額が50億円以上、
 の要件が新たに追加されました。
 従来の要件と合わせて全て満たすことで、特別償却は取得価額の50%、税額控除は取得価額の5%となる上乗せ措置が適用されます。
 主務大臣の確認要件についても見直しが行われており、要件の判定において売上高を計算する場合には需要の変動等による影響を勘案した計算方法を用いることなどの運用改善が図られています。

3.適用期限

令和7年3月31日まで2年間延長されました。

 

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