「生前に相続時精算課税制度での贈与を受けていても相続放棄できるか」
相続時精算課税制度を利用して財産の生前贈与を受けると、贈与者が亡くなったときには、遺産にその贈与を受けた財産(贈与時における価額)を加えて相続税を計算しなければいけません。
相続時精算課税制度を利用して贈与された財産であっても、すでに受贈者所有の財産となっているため、その後に相続放棄をしたとしても受贈者の財産であることに変わりはないのです。税金の制度の中で相続がらみであるかのように思われますが、これは「贈与」であり、相続放棄する権利を失うわけではありません。
ただし、注意点があります。
例えば、贈与を受けた時に贈与者が借金を抱えており、債務超過の状態であった場合で、将来において債権者への弁済を意図的に免れる目的で財産を贈与した場合などは、民法上の詐害行為取消(民法424、426)に該当することになり、贈与自体が取り消される可能性があります。一方、贈与時には財産が十分にあったが、その後不幸にも状況が悪化して債務超過になってしまったという場合には、詐害行為取消の対象にはなりません。