「地価公示(公示価格)・路線価・固定資産税評価額(・基準地価)」の違いを知る!
一つの土地には、異なる4つの価格が成立するとされています。
1.公示価格 2.相続税路線価 3.固定資産税評価額 4.取引価格
上記4つの価格です。これを1物4価といいます。
※ 地価公示、相続税路線価、固定資産税評価の相互関係
公示価格を100として、概ね相続税路線価を80、固定資産税評価額を70と均衡化が図られています。
1物4価のイメージ
相続税路線価 = 4,000万円
固定資産税評価≒ 3,500万円
時 価 ≒ 5,000万円
1.公示地価とは?
公示地価は、地価公示法(昭和44年法律第49号)に基づき、国土交通省による土地鑑定委員会が毎年1回公示する標準地の価格で、調査は昭和46年(地方圏は昭和47年、一部の用途は昭和50年)から毎年実施されています。
公示対象は原則として都市計画法による都市計画区域内ですが、都市計画区域以外でも土地取引が相当程度見込まれるものとして省令で定められた区域が対象に加わります。公示される価格はその年の1月1日時点で、3月中旬頃に発表されます。土地価格動向の指標として、市場の需給動向を反映した中立公正な価格です。
そして、この地価公示価格は、相続税路線価、固定資産税評価の基礎となります。相続税路線価や固定資産税評価額は地価公示価格を基準とするため、地価公示価格が変動することで、これら課税評価額も変動する関係にあります。
公示地価は公共事業用地の取得価格算定の基準とされるほか、「一般の土地取引価格に対する指標となること」「適正な地価の形成に寄与すること」が目的とされています。
そのため、それぞれの土地がもつ本来の価値(売り手にも買い手にも偏らない客観的な価値)を評価することになっており、現存する建物などの形態に関わらず、対象土地の効用が最高度に発揮できる使用方法を想定したうえでの評価が行なわれます。
それぞれの地点につき、2人以上の不動産鑑定士が別々に鑑定評価を行ない、その結果を調整したうえで価格が決定されるため、標準地の単位面積あたりの“正常な価格”(更地価格)だというのが建前です。公示される際には、「住宅地」「商業地」「宅地見込地」「準工業地」「工業地」「調整区域内宅地」に分類されます。
ちなみに2013年の公示地価では、公示対象の区市町村が1,389(東京23区および785市538町43村)、対象の標準地が26,000、評価を行なった不動産鑑定士は2,706人(数字はいずれも国土交通省公表資料による)となっています。
標準地の数は2004年の31,866地点から毎年、徐々に減少が続いています。
2.相続税路線価とは?
道路面に対して価格が付けられている。
公示地価などが敷地そのものについての価格(単価)なのに対して、路線価は一定の距離をもった「路線」に対して価格が決められます。
つまり、その路線に面する宅地の価格(単価)はすべて同じという考えかたで、個々の敷地における価格はその形状などに応じて補正をします。 ただし、大都市部の幅の広い路線などでは、上り車線側と下り車線側、あるいは道路の途中から別々の異なる価格が付けられる場合もあります。
都市部の市街地では、ほぼすべての路線(公道)に対して価格が付けられるため、その基礎となる調査地点(標準宅地)の数は約36万(2012年の場合)にのぼります。
後記の公示地価や基準地価における調査地点の10倍を上回る数のため、評価時点は毎年1月1日ですが、これが公表されるのは7月1日となっています。
なお、2007年以前は毎年8月1日に公表されていましたが、これが1か月早められる代わりに、閲覧用の分厚い路線価図の作成が取りやめられました。
全国の路線価図(過去3年分)は国税庁のページでみることができます。
路線価図には1平方メートルあたりの単価が千円単位で表示されていますので、たとえば図中に「200」とあればその単価が20万円ということになります。
3.固定資産税評価額とは?
固定資産税評価額は、各市町村が固定資産税を算定する際の基準となる価格です。
3年ごとの評価替えで、地価変動の大きい都市部では毎年、 時点修正されています。
土地の固定資産税評価額は、個々の個別性を反映した価格です。
建物の固定資産税評価額は、画一的に減価償却した価額です。
建物の固定資産税評価額は、残価率を20%とし、画一的な減価償却した価額です。
しかし、木造建物であれば、築15年ぐらいのものであれば、市場価格がゼロとなる場合もあります。このような場合、固定資産税評価額は時価を超え、適切な時価とはなりません。
(参考)基準地価とは?
公示地価とよく似たものに基準地価があり、調査は昭和50年以降、毎年実施されています。価格の性質や目的、評価方法などは公示地価とほぼ同様に考えて差し支えなく、大きく異なるのは価格時点(基準日)が7月1日(公示地価は1月1日)である点です。こちらは毎年9月20日頃に公表されます。
また、根拠となる法律が国土利用計画法施行令(昭和49年政令第387号)(公示地価は「地価公示法」)であること、調査の主体が都道府県(公示地価は国)であることなどが公示地価と異なっています。
さらに、公示地価が都市計画区域内を主な対象とするのに対して、基準地価は都市計画区域外の住宅地、商業地、工業地、宅地ではない林地なども含んでいます。
調査の対象となる基準地の多くは公示地価と異なっていますが、一部は 公示地価の標準地と重複しているため、半年ごとの地価動向を確認することができる場合もあります。
ちなみに2012年の基準地数は、宅地(住宅地、商業地、工業地)が21,908地点、林地が556地点、合計22,264地点です。調査対象範囲は公示地価より広いものの、地点数は 公示地価 よりも少なくなっています。
なお、公示地価では評価にあたる不動産鑑定士が1地点につき「2人以上」となっているのに対し、基準地価の規定では「1人以上」となっています。
また、公示地価と同様に、このところ数年は基準地数が年々減りつつあります。
次回は不動産(土地)の取引価格についてです。