1.制度の概要
【中小企業経営強化税制】は、青色申告書を提出する中小企業者等が、中小企業等経営強化法の制定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の整備を新たに取得等して指定事業の用に供した場合に、
■ 即時償却 又は
■ 取得価額の10%の税額控除 (資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)
の税額控除を選択適用することができる制度です。
原則、設備の取得前に経営力向上計画の認定を受ける必要があります。
対象となる設備は
・生産性向上設備(A類型)
・収益力強化設備(B類型)
・デジタル化設備(C類型)
・経営資源集約化設備(D類型)
の4類型。それぞれ要件が定められています。
例えばA類型では、機械装置等の一定の設備のうち、
①生産効率や制度等が旧モデルと比較して年平均1%以上向上する設備
②最新モデルである必要はありませんが一定期間内に販売されたモデルの2つの要件を満たす必要があり、適用に当たっては工業会等の確定を受けて証明書を取得しなければなりません。(下図参照)
参考:経済産業省資料より zeiseikaisei.pdf (meti.go.jp)
なお、テレビ会議システム等に係るソフトウェアやテレワーク用電子計算機等の器具備品など、中小企業等経営強化法上の認定を受けた経営力向上計画に基づいて働き方改革の推進に資する減価償却資産を取得し、自社が営む指定事業(※)の用に供する場合にも、適用を受けることができます。
※指定事業とは「中小企業投資促進税制の対象業種」に該当するすべての事業が、「中小企業経営強化税制の指定事業」となります。(下表参照)
中小企業投資促進税制の対象業種 |
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、 港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業については生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、通信業、損害保険代理業及びサービス業(映画業以外の娯楽業を除く)、不動産業、物品賃貸業 △性風俗関連特殊営業に該当するものは除く |
また、選択適用となる税額控除の控除額は、
・「中小企業経営強化税制」と「中小企業投資促進税制」の控除税額の合計
・その事業年度の法人税額の20%が上限
・税制控除の限度額を超える金額は、翌事業年度に繰り越すことが可能
特別償却についても、限度額まで償却費を計上しなかった場合には、その償却不足額を翌事業年度に繰り越すことができます。
2.改正の内容
新型コロナウイルス感染症の影響により、中小企業による設備投資額がここ数年大きく減少しています。中小企業者等の成長及び発展が日本経済の活性化に果たす役割の重要性に鑑み、中小企業者等における生産性の高い設備やIT化等への設備投資を促進することで経営力の向上を図る観点から、適用期限が2年間延長されました。
また適用対象のうち、管理の概ね全部を他社に委託する機械装置で、コインランドリー業又は暗号資産マイニング業(その中小企業者等の主要な事業であるものを除く)のように供するものは対象外とされました。
3.適用期限
令和7年3月31日まで2年間延長されました。