Ⅰ.遺言執行者就任後の事情の変更
一度、遺言執行者が指定ないし選任された場合でも、任務の継続が不可能になった場合や、
不適切な行為があった場合などには、遺言執行者の辞任や解任が認められています。
Ⅱ.遺言執行者の辞任
遺言執行者は、正当な事由がある場合には、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞する
ことができます。正当な事由とは、長期間の病気や遠隔地への引越し等、遺言執行が客観的
に困難と認められる状態をいいます。
辞任を希望する遺言執行者は、相続開始地の家庭裁判所に対して辞任許可の審判を申し立
てる必要があり、その中で正当な事由の有無が判断されます。
辞任に制限が生じるのは、遺言執行者の任務の重要性に鑑み、一方的な辞任によって相続
人に不足の損害を与えないためです。
Ⅲ.遺言執行者の解任
遺言執行者が任務を怠ったとき、その他正当な事由があるときは、利害関係人(相続人や
受遺者等)が、遺言執行者の解任を家庭裁判所に請求することができます。
解任の事由は、遺言執行者の任務懈怠のほか、一部の相続人のみを有利に取り扱っている
場合や、病気等により円滑な遺言執行が期待できないような場合も含まれます。
解任を希望する利害関係人は、相続開始地の家庭裁判所に対して解任の審判を申し立てる
必要があり、その中で解任事由の有無が判断されます。
Ⅳ.辞任、解任後の措置
引続き、遺言執行者が必要となる場合には、新たな遺言執行者の選任を家庭裁判所に対し
て請求することになります。