遺産分割がまとまらない場合

 相続人のみで遺産分割協議を行っていると、感情的になったり、又、同じところを
堂々巡りしていたりして、当事者だけではなかなか分割がまとまらないということは
よくあります。
 そのような場合には、以下の方法が順に考えられます。
 1. 税理士等に相続財産の中立的な立場での評価をしてもらうところから始める
 2. 家庭裁判所に、遺産分割調停を申し立てる
 3. 弁護士に中に入ってもらい遺産分割協議を行う

 1. 税理士等に相続財産の評価を中立的な立場で依頼する。
  例えば、遺産が金融資産3500万円、その他に土地付自宅があり、
 相続人が子供A、Bの2人の場合。
  子供Aは自宅で親と同居していたから自宅の不動産を相続し、
  子供Bは金融資産3500万円を相続し、一件落着となるでしょうか。
 この自宅は20年前に両親が4500万円ほどで購入したものなので、
 子供BはAに対して差額部分を要求するかもしれません。
 また、一方子供Aは、この自宅は現在売っても2500万円にも満たないので
 差額部分をBに要求するかもしれません。
  この場合、問題となってくるのが土地付自宅の評価です。
 基本的には時価で評価し、遺産分割を行うことになりますが、この時価と言うのは
 一義的に決まるものではありません。

 ここで、ひとつのものさしになるものとして固定資産税評価額があります。
 ただし、一般的には、固定資産税評価額は、時価(実際に売れる価格)より相当
低い場合が多いです。固定資産税評価額はだいたい時価の70%といわれています。
逆に人気がない物件だと固定資産税の評価額以下でも売れない場合もあります。
 次に、路線価があります。路線価とは、相続税や贈与税のもとになる評価でどの道路
にどう面しているかでその評価をします。だいたい時価に対して80%といわれています。
 不動産鑑定士による評価も考えられます。さまざまな土地の評価方法から総合的に
不動産鑑定士が鑑定書という書類で示すもので、信頼性の高い評価といわれています。
ただし、費用はそれなりにかかります。

 2. 家庭裁判所で、遺産分割調停を申し立てる
  被相続人が亡くなり、その遺産の分割について相続人の間で話し合いがつかない
 場合には家庭裁判所の遺産分割の調停を利用することができます。
  相続人のうちの1人もしくは何人かが他の相続人全員を相手方として申し立てるもの
 です。弁護士に依頼をしなくても本人自身で申し立てが可能です。
  調停手続では、当事者双方から事情を聴かれたり、必要に応じて資料等を提出させ
 られたりした上で、各当事者がそれぞれどのような分割方法を希望しているか意向を
 聴取され、解決案を提示されたり、解決のために必要な助言をされたりし、合意を目指
 し話合いが進められます。
  なお,話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には次は自動的に審判手続が
 開始され、家事審判官(裁判官)が、遺産に属する物又は権利の種類及び性質,各相
 続人の年齢,職業,心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、審判を
 することになります。
  費用は、被相続人1人につき収入印紙1,200円です。
  その他予納郵便切手2,000円程度かかります。
  弁護士を代理人として遺産分割調停を行うこともできますが、費用倒れになる可能性
 があるので注意が必要です。

 3. 弁護士を代理人として遺産分割協議を行う
  上記の遺産分割調停は、弁護士に依頼しなくても当事者間のみで簡潔させることは
 可能です。
  しかし、弁護士に依頼するメリットとして以下のようなことが考えられます。
 1. 他の相続人との交渉も委任できるので、嫌な思いをしなくて済む
 2. 他の相続人に弁護士がついている場合は、言い負かされずに済む
 3. 場合によっては、自分で行うより多くの相続分を手に入れることができる
  一方、デメリットとしては、弁護士報酬の高さが考えられます。
 場合によっては遺産の額よりも弁護士報酬の方が高くなってしまう場合もあるので
 注意が必要です。

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会計プロフェッショナルの税務事案奮闘記
深井和巳 監修
日本公認会計士協会京滋会 編著

租税法判例について、日々生起する相談案件を、京都で開業する公認会計士事務所で働く会計士により、判例中心で読み解くストーリー仕立てで構成。